リストカールで逞しい前腕を作るための正しいフォームや効果的なやり方についてご紹介します。
前腕は、Tシャツを着たり、Yシャツの腕をまくったりすると露出される部位のため人の目に触れる機会も多く、筋肉を発達させることでがっしりとした腕のラインを強調できます。
リストカールはダンベルやバーベルなど、揃えやすいトレーニング器具で取り組める種目のため、自宅トレーニングとも相性が良いのが特徴です。
初心者の方のために、手首の怪我を予防する方法や、効果を高める重量設定の方法についてもご紹介するので参考にしてみて下さい。
リストカールとは
リストカールとは、ダンベルやバーベルを使って、手首を屈曲させることで前腕部分の筋肉を鍛えるのに適したトレーニング種目です。
前腕の筋肉は、腕や手を使うスポーツにも大きく影響するため、ボディラインを作るだけでなく、スポーツパフォーマンス向上のためにも効果的なトレーニングと言えます。
リストカールはカール系トレーニングでも基本的な種目のため、トレーニングの方法を習得すると、リストカールのバリエーションや、その他のカール系トレーニングを実施するのにも役立ちます。
リストカールが効果的な筋肉部位
リストカールでは、主に「前腕屈筋群」を効果的に鍛えられます。
前腕には、円回内筋や橈側手根屈筋、長掌筋、尺側手根屈筋など、20以上の筋肉部位があります。
そこで前腕筋群は、それぞれ作用によって、前腕屈筋群・前腕伸筋群・腕橈骨筋の3つに分類するのが一般的です。リストカールでは腕を屈曲させることに作用する前腕屈筋群を鍛えられます。
また、リストカールは前腕トレーニングのため見落としがちですが、フォームを意識することで握力と関係のある深指屈筋や浅指屈筋にも効果があります。
※深指屈筋と浅指屈筋はどちらも前腕屈筋群を構成する筋肉部位
リストカールで使う筋トレマシン・器具
リストカールでは、主に以下の筋トレマシンや器具が必要になります。
- ダンベル
- バーベル
- ケーブルマシン
- リストラップ
リストカールは、ダンベルやバーベルなど、自宅にあるトレーニング器具で実施できるトレーニング種目です。
また、ジムで取り入れる場合には、ケーブルマシンを使うことでより効果的にトレーニングできます。
筋肥大を狙ったリストカールのようなカール系の種目を取り入れる場合には、手首保護のためにリストラップを用意するようにしましょう。
リストカールの平均重量(男女別)
リストカールで扱える重量は、実施する人の性別や体重、トレーニングレベルによっても大きく異なります。そのため平均重量はあくまで目安となります。
リストカールの1レップでの最大重量の平均は以下の通りです。
- 体重75kgの男性:50kg
- 体重55kgの女性:20kg
ただし、リストカールは、「低負荷×高回数」で鍛える方が多いため、実際に普段のトレーニングで扱う重量は上記の平均重量よりずっと軽くなります。
初心者の方であれば、
- 男性:5kg~10kg
- 女性:3kg~5kg
くらいの重量から始めてみましょう。
リストカールは握力アップに効果が期待できる
リストカールは、握力アップにも効果が期待できるトレーニングです。
握力には以下の2つの筋肉部位が大きく関与しています。
- 深指屈筋
- 浅指屈筋
深指屈筋と浅指屈筋は、前腕にある筋肉部位で手指の屈曲に関係のある部位です。
どちらも前腕屈筋群を構成する部位の一つですが、リストカールで鍛えるためにはフォームの微調整が必要になります。
リストカールのボトムポジション(手が一番下がる位置)で、しっかりと2つの部位を屈曲できるようにダンベルやバーベルを指にかかるところまで下げるようにしましょう。
また、ノーマルのグリップに取り付けてグリップを太くするビッググリップを使用することでも握力と関係のある筋肉部位へ効果的に負荷がかけられます。
リストカールの正しいフォームとやり方
リストカールは、正しいフォームで実施することではじめてトレーニング効果を期待できます。
手首の怪我を予防するためにも、やり方をしっかり確認しましょう。
1. 片手にダンベルを持ってベンチに腕を乗せる
使用するダンベルを手にとって、フラットベンチを足で挟むようにして座ります。
手首から先がベンチの端から出るようにして前腕をベンチに水平に置きます。
もしフラットベンチが自宅になければ、椅子に座った状態で自分の太ももの上に前腕を置いたり、机の上にタオルなどを敷いてベンチ代わりにしたりすることでもトレーニング可能です。
2. 持ち手の肘を逆の手で支えながら腕をベンチに固定
トレーニング中に前腕が動いてしまうと、負荷が前腕屈筋群から上腕に抜けてしまう原因になるため、反対の手でダンベルを持っている方の前腕を押さえて固定するようにしましょう。
以上がリストカールのスタートポジションになります。
前腕のブレは、手首の怪我の原因にも繋がるので、しっかり固定して安定感のある状態でトレーニングを実施しましょう。
3. 手首を巻き上げるイメージでダンベルを持ち上げる
手首を巻き上げるイメージで、ゆっくりとダンベルを持ち上げていきます。
ダンベルを上げる際には、前腕の筋肉の力だけで動作するように意識して、前腕屈筋群がしっかり収縮している感覚を掴めるようにしましょう。できる限り屈曲させた状態で数秒停止するようにすると、より強い負荷がかけられます。
ダンベルを持ち上げる時には上腕が動きやすくなるので、反対の手でしっかりと固定しましょう。
4. 手首をゆっくりと伸ばしながらダンベルを下ろす
ゆっくりと屈曲させていた手首を元に戻しながら、ダンベルを下ろしていきます。
ダンベルを下ろす時には、前腕屈筋群がしっかりと伸展しているのを感覚で掴むようにしましょう。
ダンベルを手のひらでなく、指にかかるような位置まで下げると、前腕屈筋群の中でも握力と関係のある浅指屈筋・深指屈筋まで刺激でき、握力アップにも効果が期待できます。
リストカールの重量や回数、セット数の目安
リストカールをはじめ、筋力トレーニングは狙っている効果に合わせて重量と回数を設定することが重要です。
リストカールのトレーニングの組み方を、目的に応じてご紹介します。筋力トレーニングのメニューを設定するのに参考にしてみて下さい。
目的に合わせて回数を設定する
リストカールをトレーニングに取り入れる目的は人によって異なります。
目的に沿った重量と回数設定で重要なのが、RM(=Repetition Maximum)の確認です。
RMとは、「反復可能最大重量」のことで、例えばリストカールで15kgのダンベルを10回上げ下げするのが限界の場合、15kgが「10RM」になります。
このRMを目安に、トレーニングの目的別で回数と重量を以下のように設定するようにします。
目的に合わせて重量や回数を設定する
目的 | 回数(RM) |
---|---|
筋力向上 | 3~7RM |
筋肥大 | 8~12RM |
筋持久力向上 | 13~20RM |
共通するのは、「設定した回数で限界が来るような重量にすること」です。
パワーリフティングや格闘技、球技などでスポーツパフォーマンス向上を目的にリストカールを取り入れる場合には、“高負荷×低回数”のトレーニングが基本です。
ただし、怪我のリスクが大きく、高いトレーニングレベルが求められるため、これからはじめてリストカールをトレーニングに取り入れる方は、10回~15回で限界が来る重量設定にしましょう。
ゆっくりと動作しながら、正しいトレーニングフォームを身に付けることが重要です。
セット数は3〜4回が目安
リストカールを含め、筋力トレーニングの基本は複数セットの実施です。
1セットだけでは狙った筋肉部位を追い込めないので、1分程度のインターバルを挟みながら、複数回セットをこなします。
初心者の方であれば、まずは3セットから始めるようにしましょう。慣れてきたら、徐々に4セット、5セットとセット数を増やしていきます。
複数セットをこなすことで、オールアウト(それ以上一回も反復できない状態)までしっかりと筋肉を追い込んでトレーニング効果を高めることができます。
リストカールの効果を高めるコツ3つ
リストカールはシンプルな動作のトレーニングだからこそ、いくつかのポイントを意識するだけでトレーニング効果をさらに高めることができます。
以下の3つのコツについてご紹介します。
一つずつ詳しく確認してみましょう。
コツ1. ダンベルを下げる時は指先をグリップにひっかける
リストカールを実施する際には、ダンベルのグリップを指先にかけるようにして、握力の強化まで意識するようにしましょう。
特にダンベルを下げる時には、ボトムポジションで指にかかるところまでダンベルを下げることでよりトレーニング効果を高められます。
※高負荷を扱っている場合には、指で重量を支えきれない場合もあるので注意して下さい。
握力の強化は、ベンチプレスなど他のウェイトトレーニングでより大きな重量を扱うためにも欠かせないポイントになります。
コツ2. 手首の可動域は半円を描くように広く使う
リストカールは疲れてくると動作がコンパクトになりがちですが、できるだけ手首の可動域を大きく使うようにすると、前腕屈筋群をしっかり伸展・屈曲できトレーニング効果が高まります。
どこまで上げ下げするのかはじめのうちはわかりにくいかもしれませんが、ダンベルをグリップした拳で大きな半円を描くように動作しましょう。
手首の可動域を大きく取るように意識すると、前腕が動きやすくなるのでしっかり固定するように注意して下さい。
コツ3. 手首の力だけでダンベルを上げ下げさせる
リストカールで扱う重量は、他のウェイトトレーニングと比べるとかなり軽めです。
そのため、前腕を浮かせて上腕筋の力を使ったり、上半身の反動を利用したりすると、簡単にダンベルが上がります。
ただし、当然負荷は前腕屈筋群から上腕へと逃げてしまい、回数を重ねるだけのトレーニングとなってしまうため、トレーニング中は手首の力だけで動作させるように意識することが重要です。
ゆっくり動作するようにすると、他の筋肉部位の介入を避けて、前腕屈筋群の力だけで実施しやすくなります。
リストカールの種類・バリエーション
リストカールには、いくつかのバリエーションがあります。
それぞれ負荷のかかり方など特徴が異なるため、トレーニング環境やトレーニングレベルに合わせてリストカールのバリエーションを使い分けるようにしましょう。
バーベル・リストカール
バーベル・リストカールは、バーベルを利用したリストカールのバリエーションです。
バーベルを使用することで手幅が固定されるため、より安定したフォームで動作しやすくなるのが特徴です。
How To
- 両手にバーベルを持ってベンチに座る
- 手首から先が膝から出るように前腕を置く
- 手首を巻き上げるようにバーベルを上げる
- 手首を伸ばしながらバーベルを下ろす
ダンベル・リストカール
ダンベル・リストカールは、ダンベルを使って実施する基本的なリストカールのバリエーションです。
ダンベルだけあれば実施できるため、自宅でも取り入れやすく、負荷をトレーニングレベルに合わせて調整しやすいのが特徴です。
How To
- 片手にダンベルを持ってベンチに腕を乗せる
- 持ち手の肘を逆の手で支えながら腕をベンチに固定
- 手首を巻き上げるイメージでダンベルを持ち上げる
- 手首をゆっくりと伸ばしながらダンベルを下ろす
ケーブル・リストカール
ケーブル・リストカールは、ケーブルマシンを使って実施するリストカールのバリエーションです。
ケーブルマシンを使うことで、常に筋肉に負荷がかかった状態を作れるため、筋肥大にも高い効果が期待できるのが特徴です。
How To
- ケーブルマシンにストレートバーを装着してグリップ
- 手首から先が膝から出るように太ももの上に乗せる
- 手首をゆっくりと巻き上げるようにケーブルを引く
- ゆっくりと前腕への負荷を感じながら手首を戻していく
【Q&A】リストカールについて多い質問
リストカールについてよく寄せられる質問についてもご紹介します。
リストカールで手首が痛い場合の対処法や、リストカールと一緒に組み合わせたい相性の良いトレーニングについても解説しますので、参考にしてみて下さい。
Q. リストカールで手首を痛めたときにできる前腕トレーニングは?
手首はとてもデリケートな関節のため、正しいフォームを意識してもリストカールではどうしても痛みを感じる場合があります。
手首が痛い場合には、バーベルビハインドリストカールがおすすめです。
体の後ろでバーベルを持って実施するリストカールのバリエーションで、可動域をそこまで大きく使わないので手首が反りづらく、手首への負担を軽減できます。
また、リストカール系の基本ですが、リストラップを活用するのも負担軽減に効果的です。
Q. リストカールと一緒にやったほうがいいトレーニングってなに?
リストカールと組み合わせるのにおすすめのトレーニングは「リストエクステンション」です。
「リバースリストカール」とも呼ばれ、手首をリストカールとは反対に反るようにして前腕伸筋群を鍛えるトレーニング種目です。
2つのトレーニングを組み合わせることで前腕をバランス良く鍛えて、腕のラインの陰影をよりはっきりと強調できます。
Q. リストカールは毎日やっても大丈夫って聞くけど実際どうなの?
リストカールで鍛えられる前腕屈筋群は、日常生活でもよく使われるため回復が早く、毎日トレーニングしても大丈夫と聞いたことのある方も多いと思います。
ただし、損傷した筋肉の回復は、前腕屈筋群であっても他の部位と同じように最低でも48時間はかかるため、毎日トレーニングするのはおすすめできません。
多くても週3回のトレーニングにするようにしましょう。
リストカールで前腕屈筋群を効果的に鍛えよう!
リストカールで効果的に前腕屈筋群を鍛える方法や、正しいフォームについてご紹介しました。
前腕の筋肉は人の目にとまりやすく、リストカールで効果的に鍛えることで逞しい腕のラインを強調できます。
また、リストカールは、気を付けてトレーニングしないと手首に負担がかかりやすい種目でもあります。
正しいフォームでの実施方法や、怪我しにくいトレーニング目的別の重量や回数の設定方法についてもご紹介したので参考にしてみて下さい。
ダンベルなど揃えやすいトレーニング器具で簡単に実施できるリストカールを、自宅トレーニングに取り入れてみましょう。