ワイドスクワットで効果的に内転筋を鍛えるやり方や正しいフォームについてご紹介します。
ワイドスクワットは自宅で道具がなくてもできる自重トレーニングです。日常生活ではなかなか使わない内転筋という筋肉を鍛えることで、脚痩せやO脚改善に繋がる“美脚トレーニング”としても人気があります。
初心者の方でも効果を高めるコツや、回数の設定方法、よくある質問の答えについての情報もあるので、日々のトレーニングの参考にしてください。
ワイドスクワットとは
ワイドスクワットとは、両足の幅を広く取ってスクワット動作を行うスクワットトレーニングのバリエーションの一つ。
自重トレーニングですが、トレーニング目的やレベルに合わせてダンベルやチューブを使うことで、より負荷を高めることも可能です。
上半身の角度を調節することで、負荷をかけられる筋肉の部位が変化するため、トレーニング目的に沿ってフォームを調節することが重要です。
ワイドスクワットが効果的な筋肉部位
ワイドスクワットでは、以下の筋肉の部位を効果的に鍛えられます。
- 内転筋
- 大腿四頭筋
- 大臀筋
内転筋は、太ももを内側へと引きつける内転動作を担う筋肉で、日常生活の中であまり刺激できない部位のため、ワイドスクワットをトレーニングに取り入れると比較的すぐに筋肉が付きやすいのが特徴です。
大腿四頭筋と大臀筋が鍛えられるのはノーマルスクワットと同様ですが、ワイドスクワットはさらに内転筋も使うため、慣れてくるとノーマルスクワットよりも重量が上げられるようになります。
ワイドスクワットとノーマルスクワットの違い
ワイドスクワットとノーマルスクワットの大きな違いは「足のスタンス(幅)」です。
ワイドスクワットはノーマルスクワットよりも広く、肩幅の1.5倍くらいに足を開いて行います。そのため“ワイドスタンススクワット”とも呼ばれます。
ワイドスクワットでは、お尻を後ろに突き出すようにして骨盤を前傾させることで、ノーマルスクワットでは負荷がかからない内転筋も鍛えられます。
大腿四頭筋や大臀筋へも負荷がかけられるため、足全体を鍛えるのにとても便利なトレーニング種目とも言えます。
ワイドスクワットはO脚改善効果も期待できる
ワイドスクワットはO脚の改善にも効果が期待できるトレーニングです。
ワイドスクワットで鍛えられる内転筋には、股関節を閉じる動作だけでなく、骨盤を正常な位置に保つための作用もあります。内転筋が弱ると骨盤がゆがみやすくなり、O脚になりやすくなります。
例えば、O脚に悩んでいる方は、椅子に座った状態で両膝をくっつけてみて、内ももの筋肉が辛いと感じる場合には、内転筋の筋力低下が疑われます。
内転筋は日常生活で使う機会の少ない部位のため、トレーニングで意識して鍛える必要があります。
ワイドスクワットは道具無しでできる自重トレーニングなので、O脚に悩んでいる方はぜひ自宅で試してみましょう。
ワイドスクワットの正しいフォームとやり方
ワイドスクワットの正しいフォームでのやり方は以下の通りです。
スクワット系のトレーニングは、正しいフォームを習得することでトレーニング効果を高めるだけでなく、膝関節や股関節の怪我の予防にも繋がります。
4つのステップそれぞれの詳しいやり方を確認してみましょう。
1. 負荷不足の場合にはウエイトで負荷を加える
ワイドスクワットは自重トレーニングですが、ダンベルやウエイトを持つことで負荷を足すことができます。
自重だと余裕を残して20回以上ワイドスクワットができる方は、負荷を加えてトレーニングレベルを調整しましょう。ダンベルを片方ずつ両手で肩の上で担ぐか、胸の前で両手で1つのダンベルやウエイトを持つ方法が一般的です。
自重だけでトレーニングする場合には、両手は前へ上げるようにしましょう。
2. 足幅を肩幅の約1.5倍に開いて立つ
ワイドスクワットのスタンスは、肩幅の約1.5倍ほどです。
足を広く開いて、足先は45°外側に向けます。背中を丸めてしまうと骨盤が前傾しにくくなり内転筋に効かせづらくなるため、胸を張って背筋がピンと真っ直ぐになるようにしましょう。
上半身を垂直に保った状態をトレーニング中は常にキープするようにします。
3. 膝の角度を足先に合わせながらしゃがむ
ゆっくりと、ももと床が平行になるまでしゃがんでいきます。
しゃがむ際には膝の角度が常に足先の方向と同じ向きになるように注意します。膝が足の向きより内側や外側に向くと、膝関節や股関節を痛める原因になります。
また、しゃがむ際にお尻を後ろに突き出して骨盤を前へ傾けるように意識すると、ワイドスクワットの特色である内転筋への負荷をしっかりとかけられます。
4. 足裏全体で身体を押す意識で立ち上がる
しゃがむ際にはゆっくりですが、スクワット動作で上がる時にはリズミカルに素早く立ち上がります。
足の中心からかかとに力を込めて押し出すようにして立ち上がるようにします。
また、立ち上がった際に足を伸ばしきってしまうと負荷が筋肉から抜けてしまうため、膝を少し曲げたところで止めて、次のスクワット動作に入るようにしましょう。
ワイドスクワットの回数やセット数の目安
ワイドスクワットはトレーニングの目的に沿って回数を調整しないと、「脚痩せのはずが逆に太くなった」なんてことになってしまうため、注意が必要です。
トレーニングの目的別の回数の設定やセット数の決め方をご紹介します。
目的に合わせて回数を設定する
ワイドスクワットの回数を設定する上で重要なのが、RM(=Repetition Maximum)の確認です。
RMとは、「反復可能最大重量」のことで、例えば50kgのバーベルを担いだ状態でワイドスクワットを10回するのが限界の場合、50kgが「10RM」になります。
そしてトレーニング回数は以下のように設定します。設定した回数で限界がくるRMでトレーニングするのが基本です。
目的 | 回数(RM) |
---|---|
筋力向上 | 3~7RM |
筋肥大 | 8~12RM |
筋持久力向上 | 13~20RM |
例えば、脚痩せしたい人がウエイトを持って8~12回のトレーニングをしてしまうと、逆に筋肉が発達して足が太くなりやすくなります。“低重量”ד高回数”でトレーニングすると、筋肉を引き締めて脚痩せ効果向上が期待できます。
逆に脚を太くゴツゴツしたシルエットにしたい方が、自重だけで高回数のトレーニングをしても、効果は限定的です。ウエイトを活用して“高重量”ד低回数”のトレーニングを実施しましょう。
セット数は3〜5回が目安
ワイドスクワットのセット数は、3回から5回に設定するのが一般的です。
いきなり高負荷をかけるのではなく、1セット目は自重のみで正しいフォームを確認して、しっかりと内転筋に効いているのを意識しながらウォームアップするようにしましょう。
また、ウエイトを用いたセット数の後半は、辛くなって設定した回数が上がらなくなってしまうこともありますが、その場合は回数を減らすのではなく、ウエイトの量を調整して設定回数をこなしましょう。
ワイドスクワットの効果を高めるコツ3つ
ワイドスクワットの効果を高めるポイントをご紹介します。
ワイドスクワットでトレーニングする部位を調整したり、ネガティブ動作を意識する方法について解説しているので、トレーニングをより効果的に実施するために参考にしてみてください。
コツ1. 上半身の角度を垂直・前傾にする2パターンを習得する
ワイドスクワットは上半身の角度によって、トレーニング効果が変化します。
上半身を垂直に保って骨盤を前へ傾けるようにすると、ワイドスクワットの特徴でもある内転筋へしっかりと負荷がかかります。
上半身を前傾にすると、負荷は大臀筋やハムストリングスにより大きくかかるようになります。前傾になる場合、背中を丸めてしまうと効果が薄まるため、あくまで胸を張って背中を真っ直ぐにした状態をキープします。
ワイドスクワットは基本的には内転筋を意識して行う種目なので、まずは上半身をしっかり垂直にするフォームを意識するようにしましょう。
コツ2. ネガティブ動作を3秒から6秒かけて行う
ワイドスクワットで筋肥大(脚をより太く)させたいという人は、ネガティブ(ここでは、しゃがむ)動作をゆっくりとするように意識しましょう。
ネガティブ動作は「筋肉を伸ばしながら力を発揮する」動作のことで、逆に「縮みながら力を発揮する」動作は“ポジティブ動作”と呼びます。
筋肉はネガティブ動作の際によりダメージを受け、回復する際により大きくなるため、筋肥大が目的の方はしゃがむ動作を3秒から6秒かけてゆっくりと実施しましょう。
コツ3. ジムでは高負荷をかけて足全体を効果的に鍛える
特に筋力アップや筋肥大を目的としている場合、慣れてくると自重だけのワイドスクワットだと負荷が物足りなくなってしまいます。
ジムでトレーニングする場合には、積極的にバーベルやウエイト、またはスミスマシンなどを使って高負荷をかけたワイドスクワットに挑戦していきましょう。
自宅でもダンベルやチューブを使って負荷を高めることが可能です。
チューブを使う場合には、チューブを首にかけて、両端を脚で踏んだ状態で動作することでトレーニング強度を高められます。
【Q&A】ワイドスクワットについて多い質問
初心者の人がワイドスクワットをしながら疑問に感じることが多い点についても、ご紹介します。
足全体をトレーニングしたり、ワイドスクワットだけだと飽きてしまう場合に、他にどんなトレーニングを組み合わせたら良いのかもご紹介します。
Q. ワイドスクワットで足がしっかり開きにくいのはなぜ?
しゃがんだ際に足が開きにくい場合には、まず足先の角度を確認しましょう。
足が45度ほど外側を向いていないと、しゃがんだ際にスムーズに膝が曲がらないだけでなく、膝関節や股関節を痛める原因になります。
また、初心者の人だと内ももが固くなっている場合も多いです。ベッドで仰向けになって、両足を左右に開脚するようにストレッチして柔軟性を高めましょう。
Q. 足のトレーニングでワイドスクワットに何を組み合わせるべき?
ワイドスクワットはノーマルスクワットで鍛えられる部位に加えて、内転筋まで鍛えられるバランスの良いトレーニングです。
さらに、足全体をさらにバランス良く鍛えたい人には、「ブルガリアンスクワット」を組み合わせるのがおすすめです。
片足でバランスを取るために中臀筋や深層外旋六筋といった股関節の筋肉にも効果的で、ヒップアップ効果も期待できます。
Q. ワイドスクワット以外に内転筋に効果がある自重トレーニングは?
ワイドスクワットは地味な動作なので、続けていると飽きてしまうこともあります。内転筋を継続して鍛えたい場合には、「レッグオープン」もおすすめです。
仰向けになって、両足を天井方向へ上げて、そこから両足を曲げずに左右に広げていき、限界がきたら元に戻す動作を繰り返します。内転筋だけでなく、大腿四頭筋や腹筋にも効果のあるトレーニングです。
ワイドスクワットで内転筋を効果的に鍛えよう!
ワイドスクワットで内転筋を効果的に鍛える方法についてご紹介しました。
ワイドスクワットは日常生活でなかなか負荷のかけられない内転筋に刺激を入れるのに効果的なトレーニングです。自重だけで行ったり、ウエイトを足したりすることで脚痩せから筋肉肥大まで、目的に沿ったトレーニングが可能です。
初心者の方でもわかりやすいように回数設定の方法もご紹介したので、参考にしながらトレーニングにワイドスクワットを取り入れてみましょう。