スクワットジャンプは、空中に飛び上がるようにスクワットを行う種目です。下半身のトレーニングといえばスクワットが最も有名ですが、ウエイトを使わない自重スクワットでは、どうしても十分な負荷を与えきれないことがあります。
そこでおすすめなのが、今回ご紹介するスクワットジャンプです。その名のとおり、ジャンプ動作でスクワットを行います。単純なように見えて効果が大きく、しかも楽しいトレーニングです。一方で、安全に行うためにはいくつか注意点もあります。
そこで今回は、スクワットジャンプの効果や具体的なやり方、意識すべきポイントや注意点などについて分かりやすく解説します。
スクワットジャンプとは
スクワットジャンプとは、通常のスクワットにジャンプ動作を加えたトレーニング種目です。具体的には、通常通り腰を低く下ろした後で、床を大きく蹴って飛び上がる動作を行います。
スクワットジャンプは筋肉の収縮と伸張が大きな動作で得られるため、通常の自重スクワットよりも高いトレーニング効果を得られる種目です。しかも、ジャンプするという動作を加えるため、通常のスクワットでは鍛えにくい「ふくらばぎ」も鍛えられます。
慣れるまではイメージが掴みにくい種目かもしれませんが、とても楽しく下半身を鍛えられる種目です。そこでまずはスクワットジャンプについて、よく効く筋肉やノーマルスクワットとの違いについて確認しておきましょう。
スクワットジャンプが効果的な筋肉部位
スクワットジャンプでは、次のような筋肉が主に鍛えられます。
- 大臀筋
- ハムストリングス
- ヒラメ筋
大臀筋はお尻全体に広がっている筋肉です。歩行や股関節の曲げ伸ばしなど、日常生活に欠かせない動作を担っています。ハムストリングスは太腿の裏側にあり、表側の大腿四頭筋と並んで重要な筋肉です。
さらに、スクワットジャンプではヒラメ筋を鍛えられることが重要です。ヒラメ筋はふくらはぎの筋肉で、通常のスクワットでは鍛えにくい部分。ヒラメ筋には血液を送り出すポンプのような役割があるため、ここを鍛えると下半身の血流が良くなります。
また、スクワットジャンプでは大腿四頭筋も副次的に鍛えられます。通常のスクワットと比べると効果は低めですが、それでも下半身全体を鍛えられるのは、この種目の素晴らしいところです。
スクワットジャンプとノーマルスクワットの違い
スクワットジャンプは基本的にはノーマルスクワットと似ています。ただし、膝を曲げて腰を下ろした後に、ジャンプするという点は大きな違いです。このことにより、鍛えられる筋肉やフォーム、意識すべき点などが異なってきます。
最も大きな違いは、ジャンプスクワットは瞬発力が必要な点です。そのため、スポーツや競技などの動作のために、瞬発力を鍛えたい人に向いています。ジャンプ動作を安定させるためには体幹の筋肉も必要なので、体幹を鍛えることも可能です。
スクワットジャンプは、大腿四頭筋への効果は低めです。そのため、自重トレーニングで下半身全体を満遍なく鍛えたい場合は、ノーマルスクワットとジャンプスクワットを組み合わせることをおすすめします。
スクワットジャンプの正しいフォームとやり方
スクワットジャンプのフォームは、途中まではノーマルスクワットと同じです。そのため、まずはノーマルスクワットに十分に慣れてから、スクワットジャンプを行うことをおすすめします。スクワットジャンプの手順は次のとおりです。
腰を下ろした後に、ジャンプ動作を加えることがポイント。できるだけ高く飛び上がるようにすることで、瞬発力やヒラメ筋を鍛えるというスクワットジャンプの効果も高まります。それぞれの手順についてひとつずつ確認していきましょう。
1. 両足を肩幅より少し広めに開いて姿勢を整える
最初の姿勢はノーマルスクワットと同じです。両足を肩幅より広めに開いて、つま先をハの字のように外側へ向けます。この点を意識しておかないと、膝が内側へ曲がって負荷が逃げたり、膝を痛める原因になったりします。
次に胸を張って姿勢を整えます。腰や背中が曲がっているとその後の動作に差し支えるので、真っ直ぐ伸ばすように意識することが大切です。また、スクワット動作中は常に前を見つめるようにするために、スタートポジションの段階から前を見ておくこともポイント。
腕についてはいくつかの方法があります。両手を胸のところでクロスさせたり、前の方へ伸ばしたり、自分のやりやすい方法で構いません。ちなみに、最初の段階ではノーマルスクワットと同じように、かかとを地面につけるようにしてください。
2. 膝が90度近くに曲がるまでゆっくり腰を下ろす
姿勢を整えたらスクワットの動作を行います。ノーマルスクワットとほとんど同じです。腰や背中が曲がらないように注意しながら、ゆっくり膝を曲げて腰を下ろしていきます。姿勢を維持するためには、呼吸を止めないことや前を見つめることが重要です。
腰を下ろしていくときに、膝がつま先より前に出ないよう注意することも大切。膝が出過ぎると膝を痛めてしまいます。お尻を斜め後ろへ突き出すように意識して、腰を下ろします。
このとき、息を吸いながら動作を行うことが大切です。スクワットジャンプでは飛び上がる動作を加えるので、瞬発力が求められます。酸素が不足しているとパワーを発揮できないので、息を吸いながら動作を行いましょう。
3. つま先で地面を押し下半身全体の力でジャンプ
腰を下ろしていく動作は、太腿とふくらはぎが90度近くに曲がるまで続けます。浅すぎると筋トレ効果が低下しますし、90度以上に曲げると膝を痛める恐れがあるので要注意。最後まで腰を下ろしたら、一気に飛び上がってジャンプ動作を行います。
このとき、かかとを付けたままジャンプしてはいけません。ジャンプする前にかかとを浮かせて、つま先で地面を蹴ります。足の裏全体でジャンプすると、足の筋肉や腰を痛めてしまう恐れがあるからです。
中途半端にジャンプしてもあまり効果を得られません。つま先で強く地面を押して、一気にジャンプすることが重要です。下半身全体をバネのように使いましょう。イメージがわきにくい場合は、腕を前に伸ばして振り、反動をつけるのも効果的です。
4. 地面に着地したら最初の体勢に戻って繰り返す
空中に飛び上がった後は、できるだけ全身を伸ばすようにします。特に足腰や背中に関しては、しっかり伸ばすことがポイントです。このとき体勢を崩すと、着地した後にスムーズな動作ができません。体幹をしっかり意識して身体の軸がブレないようにしましょう。
床に着地した後はそのまま最初の体勢に戻って、また同じ動作を繰り返します。できるだけスムーズな流れで、次へ移行することがポイントです。時間をかけると余計な動作が入るため、筋肉への負荷が抜けて筋トレ効果が低下してしまいます。
スムーズな移行のためには、ジャンプ中に足の間隔を変えないことが重要です。足の間隔を広げたままジャンプして、そのまま着地するとすぐ次の動作へ移行できます。また、着地は必ずつま先で行い、かかとで着地しないようにしましょう。
スクワットジャンプの回数やセット数の目安
スクワットジャンプを行う際は、1セットあたりに行う回数や、そのセットを何回繰り返すかについて考えることが重要です。ここをいい加減にしてしまうと、思ったほどの効果を得られません。
ただし、スクワットジャンプは自重トレーニングなので、バーベルスクワット等とは考え方が異なります。スクワットジャンプの回数やセット数の考え方について、分かりやすい目安を解説します。
レベルに合わせて回数を設定する
スクワットジャンプでは、基本的に筋肉が限界を迎えるまで動作を続けます。ウエイトトレーニングとは異なり、ウエイトの重さで負荷を調整して、レップ数を変えることができないからです。次のように現在の筋力に応じた回数を目指すようにしましょう。
レベル | 回数 |
---|---|
初心者 | 10回 |
中級者 | 15〜20回 |
上級者 | 20回〜 |
スクワットジャンプは負荷が高いため、初心者の方は10回行うのも難しいかもしれません。しかし、地道に続けていれば着実に回数が増えて、1セットあたり20回前後できるようになるでしょう。
ただし、スクワットジャンプはジャンプ動作を挟むため、あまりやりすぎると膝を痛めてしまうかもしれません。そのため、上級者は腰を下ろす動作をゆっくり行うなど、回数よりも負荷を高めて行うことをおすすめします。
セット数は3〜4回が目安
スクワットジャンプは3~4セットほど行うことが望ましいです。負荷の強いトレーニングとはいえ、1~2セット行うだけでは筋肉を十分に刺激しきれません。筋肥大の効果を高めるためには、セットを繰り返して筋肉を疲労させる必要があるのです。
とはいえ、あまりセットを増やし過ぎても疲労が蓄積して、あまり意味がありません。最適なセット数は3~4セットなので、これを目安にトレーニングを行います。初心者の方で3セット行うのが難しい場合は、できる範囲で少しずつ増やすようにして構いません。
スクワットジャンプの効果を高めるコツ3つ
スクワットジャンプは正しいフォームが大切です。適当にやってしまうと筋肥大や瞬発力の向上もいまいちな結果に。できるだけ効果を高めるために。次の3つのポイントを意識してトレーニングを行うことが大切です。
スクワットジャンプは難しい種目ではありませんが、細かい動作が重要になります。膝が内側に向いてしまうと、負荷の低下や膝の怪我に繋がるので注意が必要です。腰の下ろし方やジャンプ時の体勢、呼吸などの点も大切な要素になります。
コツ1. 膝が内側に向かないように姿勢に注意する
スクワット系の種目を行う際は、膝の向きが重要です。初心者の方は膝が内側へ向かいがちになります。しかし、膝が内側を向くと負荷が他の場所へ分散するので、下半身の筋肉に負荷が掛かりにくくなるのです。また、膝を痛める原因になることもあります。
そのため、スクワットジャンプを行う際は、膝を外側へ向けるようにしてください。やり方は単純です。足のつま先を常に外側へ向けるようにするだけ。そうすれば膝も自然と外側を向きます。ジャンプの際もその体勢を維持すると、スムーズなトレーニングが可能です。
コツ2. 太ももが地面と平行になるまで腰を下ろす
スクワットの効果は腰を下ろす深さに左右されます。スクワットジャンプでは、太腿が床と平行になるくらい、膝が90度前後に曲がるくらいまで腰を下ろすことがポイントです。あまり浅すぎると筋肉が十分に刺激されませんし、ジャンプの際も瞬発力が発揮されません。
ただし、腰を深く下ろすほど良いというわけでもないので要注意。膝を90度以上に曲げると、膝に負担が掛かりすぎてしまい、膝を痛める原因になることがあります。また、膝がつま先より前に出ないように、お尻を後ろへ突き出すように意識することも重要です。
コツ3. ジャンプ時に力を発揮できるよう呼吸する
スクワットジャンプの効果を高めるためには、できるだけ床を強く蹴って高く飛び上がることが重要です。そのためには、下半身全体の筋肉を使って、床を押し上げるように意識することがコツ。しかし呼吸が整っていなければ、力強いジャンプもできません。
どんなトレーニングでも、パワーを発揮するためには整った呼吸が大切です。そのため動作中は息を止めることなく、呼吸を続けましょう。特に、腰を下ろすときに息をゆっくり吸い、ジャンプするとき一気に息を吐いて飛び上がるようにするのがコツです。
【Q&A】スクワットジャンプについて多い質問
スクワットジャンプは通常どおりスクワットを行って、途中でジャンプ動作を加えるというトレーニング種目です。その点では単純ですが、スクワットジャンプには分かりづらい点もあります。そこで、次のよくある疑問点についてまとめました。
上記3つのポイントは、スクワットジャンプを効果的に行う上で重要です。特に、ジャンプ動作による負担から起こる腰痛や、ジャンプ時の体幹のズレなどは悩むことはよくあります。これらの点について原因や解決策などを確認しておきましょう。
Q. スクワットジャンプをすると腰が痛くなるんだけど?
スクワットジャンプは自重トレーニングでありながら、腰や下半身にかなり大きな負担が掛かる種目です。身体を痛めてしまうと、トレーニングを続けるのが難しくなってしまいます。腰を痛めてしまう主な原因は、スクワットジャンプのトレーニングです。
スクワットジャンプでは、かかとを浮かせた状態でジャンプする必要があります。かかとをつけた状態で飛び上がると、腰に負担が掛かって腰痛の原因になるのです。ジャンプする直前にかかとを浮かせて、つま先でジャンプするようにすると良いでしょう。
Q. 筋肥大には通常のスクワットと比べてどちらが良い?
筋肥大を目指すのであれば、ノーマルスクワットの方がおすすめです。スクワットジャンプは筋肥大という点では、効果の高さはノーマルスクワットより見劣りします。スクワットジャンプでは腰を上げるときに大腿四頭筋ではなく、ジャンプ動作を活用するからです。
ノーマルスクワットは大腿四頭筋に効きますが、スクワットジャンプはヒラメ筋への効果が高くなります。そのため、スクワットジャンプは筋肥大というよりは、スポーツや競技に必要な瞬発力を身につけたい人におすすめです。
Q. ジャンプするときに体幹がズレないようにするには?
スクワットジャンプでは、着地後はすぐに次のレップへ移行することが望ましいです。時間を空けると筋肉への負荷が抜けて、トレーニングの効果が低下してしまいます。レップごとの移行をスムーズに行うためには、体幹が空中でズレないようにすることが大切です。
空中で体幹が崩れてしまう主な原因は、地面を蹴る力が両足で異なることや、姿勢を整え切れていないところにあります。ジャンプをするときは、両足のつま先で同じくらいの力で蹴り上げて、腹筋と背筋に力を込めれば安定させることが可能です。
スクワットジャンプで跳躍力を効果的に鍛えよう!
スクワットジャンプはスクワットにジャンプ動作を加えた種目で、自重トレーニングでありながら下半身を効果的に鍛えることができます。特に、ふくらはぎのヒラメ筋を集中的に鍛えたい人や、跳躍力・瞬発力を鍛えたい人におすすめです。
スクワットジャンプで重要なポイントは、正しい姿勢を維持して腰を下ろし、両足のつま先で力強く地面を蹴り上げることです。腰や背中が曲がっていたり足裏全体でジャンプしたりすると、トレーニング効果の低下や腰痛の原因になります。
スクワットジャンプは負荷が高く楽しく行える種目ですが、筋肥大の効果という点ではノーマルスクワットに見劣りする部分もあります。瞬発力の向上には向いていますが、大腿四頭筋への効果は控えめです。ノーマルスクワットと組み合わせて行うことをおすすめします。