サイドレイズは三角筋中部を鍛え、広くたくましい肩を目指せるトレーニングです。
三角筋中部は目に見えて肩の広さが変わってくる部分でもあるので、がっちりとした肩を目指している方には欠かせないトレーニングとなっています。
今回はサイドレイズについての知識から正しいフォーム、またサイドレイズの様々あるバリエーションに関して、それぞれどのように行うかの具体的な方法も含めて、サイドレイズを効果的に行うための情報を詳しくご紹介します。
肩を鍛えて上半身のバランスが取れた、シャツを着てシルエットが美しく見える様な身体になりたいという方はぜひ参考にしてください。
サイドレイズとは
サイドレイズとは、ダンベルやサイドレイズマシンなどを用いて、両腕を横に広げるような動きで上げ下げをくり返し、三角筋中部を集中的に鍛える筋トレです。
ダンベルトレーニングに分類されることが多いサイドレイズですが、ダンベル以外の器具を使ってトレーニングすることもできます。
サイドレイズで三角筋中部を鍛えることでがっしりとした肩幅を手に入れることができます。
サイドレイズが効果的な筋肉部位
サイドレイズは、腕を横に上げる作用のある三角筋中部に集中して刺激を与えるトレーニングです。
三角筋中部を鍛えることで肩幅が広くなり、肩周りもがっしりして、目に見えてたくましい体にすることができます。
腕を横に上げる際、三角筋中部は外後頭隆起、つまり後頭部と首の付け根の境目辺りから背中にかけて広がる僧帽筋にも同時に刺激が入るため、サブとして僧帽筋にも効果があります。
僧帽筋に刺激を流さず集中して三角筋中部に刺激を与えるためには、まず肩をいかり肩にし、肩甲骨をロックした状態でトレーニングするのが効果的です。
サイドレイズで使う筋トレマシン・器具
サイドレイズはダンベルを使って行うトレーニングが有名ですが、他の器具などを使用してトレーニングすることもできます。
サイドレイズができる筋トレマシンや器具は4つあります。
ダンベル | 腕を広げるように上げ下げするサイドレイズでは、ダンベルを使ってトレーニングすることが多いです。 |
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サイドレイズマシン | サイドレイズマシンはサイドレイズのために設計されたマシンです。軌道が固定されているので、正しいフォームで動作しやすいという特徴があります。 |
トレーニングチューブ | トレーニングチューブは、ゴムが伸びるほど負荷がかかる特性を活かした器具です。筋肉を追い込んだり仕上げたりするのに最適な器具です。 |
ケーブルマシン | ケーブルマシンはすべての可動域で負荷がかかり続けるという特徴のあるマシンです。サイドレイズで腕を下げすぎて負荷が抜けてしまうということがない効率的なトレーニングができます。 |
サイドレイズの平均重量(男女別)
サイドレイズは、回転運動における腕の長さが長いほど、同じ力を加えたとしても、並進運動(物体を回転させずに移動する運動のこと)の力を大きく使っていきますので、上級者でも重い重量を使って行うことが難しくなってくるトレーニングになります。
初心者であれば男性は2~3kg、女性は1~2kgから始めていきましょう。
何よりも正しいフォームで行い、しっかりと最後までフォームを維持して続けられるようにトレーニングすることが重要です。
重い重量で無理して行うと、僧帽筋の働きが強くなり三角筋が鍛えられません。
慣れてきたとしても、1~3kg程度ずつ増やすようにして慎重に行い、フォームを維持していきましょう。
肩トレはサイドレイズとショルダープレスどちらが良い?
サイドレイズは三角筋中部に効果を発揮するアイソレーション種目のトレーニングです。
アイソレーション種目とは、単一の筋肉と関節だけを動作させるトレーニング種目のことを指します。関節一つだけの動きとなるので、その動きに関与する筋肉だけを集中して鍛えられるという特徴があります。
そのためサイドレイズは、三角筋中部にピンポイントに集中して鍛えることができるトレーニングだといえます。一方、同じ肩トレであるショルダープレスはコンパウンド種目のトレーニングです。
コンパウンド種目とは、複数の筋肉と関節を同時に動作させるトレーニング種目のことを指します。
関節動作が複数ある分、その動きに関与する主動筋に加えて、その動作をサポートしている補助筋までも鍛えられ、一つのトレーニングで広範囲の筋肉を鍛えることができます。
そのためショルダープレスは肩全体を鍛えることができるトレーニングだといえます。
つまりどちらが良いというよりも、ピンポイントに効かせるならばアイソレーション種目のサイドレイズ、肩全体に効かせるならコンパウンド種目のショルダープレスが最適であると考えられるのです。
サイドレイズの正しいフォームとやり方
サイドレイズのやり方を順番に大きく分けると、下記の4つに分けられます。
サイドレイズの正しいフォームとやり方について順番に詳しく説明します。
1. ダンベルを両手に持って直立する
ダンベルを両手に持ち、足を腰幅程度に開いて直立します。肩が下がっていると僧帽筋が動いてしまい、しっかりと三角筋に効かせることができなくなってしまいます。
そのため直立するときは胸を張り、いかり肩になるよう意識します。
脇にソフトボールを挟んでいるようなイメージで構えると、しっかりと三角筋に負荷のかかる動きをすることができます。
2. 軽く肘を曲げ、上体を少し前に倒す
ダンベルを持つ腕は軽く肘を曲げるようにし、背筋を伸ばしたまま上体を少しだけ前に倒します。
三角筋をしっかりと鍛えるために、肩甲骨は動かさず肩をすくめないように意識しながら動かしていきます。
また、反動を使って上げ下げしても三角筋への刺激が減ってしまいます。できるだけゆっくり動かしてトレーニングしましょう。
3. ダンベルを外側に遠く開くように肩の高さまで上げる
両手に持ったダンベルを「上に上げる」というよりも「外側に遠く開くように上げる」という意識で上げていきます。
腕は真横に上げるのではなく30度ぐらい腕を前に出して上げると、肩が詰まらず自然な形でしっかりと三角筋に負荷をかけることができます。
腕は真っ直ぐではなく少し肘を曲げるようにし、肩の高さまで上がったときに肘とダンベルが同じ高さにあるようにしましょう。
4. ダンベルをゆっくりと下げていき、3・4の動きを繰り返す
ダンベルをゆっくりと下げていきます。下げていくときにもじっくりと三角筋に効かせながら下げることが重要なので、しっかりコントロールしながら下ろしていきます。
腕を全部下ろしきると、しっかりと肩に刺激がいかないフォームになってしまうので、下ろしきってしまう手前で止めることがポイントです。
いかり肩の状態をキープし、下ろしきらずに脇に柔らかなボールを挟んだイメージで下げていきましょう。
自分の設定回数までしっかりと3・4の動きを繰り返してください。
サイドレイズの重量や回数、セット数の目安
サイドレイズの効果をしっかりと出していくためにも、自分に必要な重量や回数を設定することは重要です。
筋肉を大きくしてたくましい腕になりたいのか、もっとパワーのある腕にしたいのか、筋持久力を上げたいのか、自分が目指している目的に合わせてきちんと設定していきましょう。
目的に合わせて重量や回数を設定する
サイドレイズを行う際は、その目的によってそれぞれ効果的な回数が違うので、自分に合った回数を知ることが大事です。
下記の表はトレーニングの目的別回数です。
目的 | 回数(RM) |
---|---|
筋力向上 | 6回 |
筋肥大 | 6〜12回 |
筋持久力向上 | 15回以上 |
トレーニングの回数はRMで表されます。
RMはRepetition Maximumといい、反復可能最大重量という意味合いを持ち、反復トレーニングを行って限界がくるぐらいの重量で設定した回数のことを指します。
つまり、サイドレイズで筋肥大したい場合は、反復可能最大重量で6~12回、筋力向上したい場合は、反復可能最大重量で1~6回、筋持久力向上したい場合は、反復可能最大重量で15回以上トレーニングするのが最適だということになります。
セット数は3〜6回が目安
セット数の設定は、どれくらいトレーニングしているかの目安トレーニングステータスによって変わってきます。
筋トレ初心者であれば週に1回3セット、筋トレ上級者であれば週に2回6セット行うのが目安です。
慣れてくれば徐々に頻度やセット数を増やしていけばいいのですが、より効果を高くしようと無理して頻度やセット数を増やしてしまうとオーバーワークになり怪我の原因となってしまいます。
たくさんトレーニングすればそれだけ強くなるというわけではありません。無理をしてやり過ぎないように注意しましょう。
サイドレイズの筋トレ効果を高めるコツ3つ
サイドレイズをトレーニングしても、重要なポイントを同時に押さえておかなければきちんと効果を出すことはできません。
筋トレ効果が高まるコツを押さえ、サイドレイズの効果を高めるために最も重要な3つのコツをお教えします。
コツ1. ダンベルより先に肘を上げない
ダンベルよりも先に肘が上がってしまうと、三角筋に刺激がいかなくなってしまいます。
またダンベルが肘より下になると、腕が小指側から上がることになり、上腕骨の動きが制限されて、鍛えたいはずの三角筋ではなく僧帽筋を使ってトレーニングすることになってしまいます。
ダンベルより肘を先に上げるフォームでは、三角筋を鍛えることができなくなってしまいます。トップポジションは腕が地面と平行で、ダンベルと肘が同じ高さになるようにしましょう。
コツ2. 肩を下げた状態で行う
肩を下げた状態で行うといっても、いかり肩をやめて肩をすぼめるという意味ではありません。
初心者がダンベルを上げる際、ダンベルの重さで肩をすぼめるように上げてしまうことがよくあります。
肩をすぼめると三角筋ではなく僧帽筋など別の部位に刺激がかかってしまい、三角筋をしっかりと鍛えることができなくなってしまいます。
サイドレイズを行う際は、胸を張っていかり肩にしながらも肩をそれ以上上げず、常に肩が下がった状態でトレーニングしましょう。
コツ3. 肘より先に手首が上がらないようにする
腕を上げる際に、肘より先に手首が上がってしまうと三角筋前部に負荷が分散し、メインで刺激が入るはずの三角筋中部への負荷がかからず、肩が鍛えられなくなってしまいます。
ダンベルを上げる際には肘が吊り上げられるようなイメージで上げていくことで、三角筋中部に効かせる動きになり、効果的なトレーニングができます。
また、ダンベルを上げるときに手首を捻って小指を上げるようにしてしまう動作も、肩関節を痛める原因となるため、手首は固定した状態で上げ下げするようにしましょう。
サイドレイズの種類・バリエーション
サイドレイズには様々なバリエーションがあり、色んなトレーニングのやり方があります。
どれも肩を鍛えるのに効果的なトレーニングなので、自分に合ったサイドレイズの方法を見つけてください。
ここでは8種類のサイドレイズを簡単にご紹介します。
ダンベルサイドレイズ
ダンベルサイドレイズは一番基本のスタイルとなります。
直立姿勢で両手にダンベルを持ち腕を広げるように上げ下げし、三角筋中部をメインターゲットに鍛えるトレーニングです。
How To
- 両手にダンベルを持ち、胸を張って足を肩幅に開き直立します。
- 肘を軽く曲げた状態で真横よりもやや前方に腕を上げていきます。
- 腕が水平になった時点で切り返し、ゆっくりと下げていきます。
- 脇を少し開けた状態まで下ろしたら再度切り返し上げていきます。
シーテッドサイドレイズ
シーテッドサイドレイズはサイドレイズを座った状態で行うトレーニングで、体勢がしっかりと安定するので、基本のサイドレイズよりも三角筋中部を集中して鍛えられるトレーニングです。
How To
- 両手にダンベルを持ち、背筋を伸ばした状態でベンチに座ります。
- 両手を下に下げた状態から肘を軽く曲げて腕を広げるように上げます。
- 肘と肩の高さが同じになったところで切り返し、ゆっくりと下げていきます。
- 脇を完全に閉じないところで切り返し、再度腕を上げていきます。
リバースダンベルサイドレイズ
リバースダンベルサイドレイズは腕を自然に真上まで上げて行うトレーニングで、三角筋だけでなく僧帽筋や棘上筋も一緒に鍛えることができるトレーニングです。
低重量で行って、ウォームアップやリハビリとして行うこともあります。
How To
- 両手にダンベルを持ち、足を肩幅に開いて立ちます。
- 両肩の力を抜いて、手のひらが太もも側を向くようにダンベルを握ります。
- 腕を水平になるまで上げ、そこから頭上で手を合わせた形になるよう上げていきます。
- 頭上からゆっくりとダンベルを下ろし、2の形に戻ります。
リーニングアウェイサイドレイズ
リーニングアウェイサイドレイズは柱などを掴んで体を斜めにし、片方の腕をより広く上下させるトレーニングで、通常のサイドレイズよりも強烈に三角筋を刺激して筋肥大を強く促すトレーニングです。
How To
- 片腕にダンベルを持ち、反対の腕で柱を掴みます。
- 体が直線的に斜めになるように傾きます。
- ダンベルを持った腕を下から上に向かって開くように上げていきます。
- 腕が床と水平になるまで上げ、そこから切り返して下げていきます。
インクラインサイドレイズ
インクラインサイドレイズはインクラインベンチに横向きで横たわり、その状態でサイドレイズを行うトレーニングで、通常のサイドレイズよりも負荷を大きくかけて、強く三角筋を刺激することができるトレーニングです。
How To
- インクラインシートの角度を40~45度に設定します。
- シートに横向きに横たわり、上になっている方の手でダンベルを持ちます。
- ダンベルを上に向かって開くように上げていきます。
- 腕が床と水平になる位置で切り返し、ゆっくりと下げていきます。ト
マシンサイドレイズ
マシンサイドレイズはサイドレイズ専用のマシンを使って行うトレーニングで、軌道が固定されたマシンで行うため正しいフォームで行いやすく、的確に三角筋中部を集中して鍛えることができるトレーニングです。
How To
- サイドレイズマシンのウエイトとシートの高さを調整します。
- 肘を曲げ、両腕をパッドの内側に当てます。
- 背筋を伸ばし、両腕を外側に開くように上げていきます。
- 肩の高さまで腕を上げたら切り返し、ゆっくりと下げていきます。
ケーブルサイドレイズ
ケーブルサイドレイズはケーブルマシンのケーブルを片側の腕で掴み、ケーブルを引っ張って腕を上げ下げするトレーニングです。
全ての動きに対してウエイトをかけ続けることができるため、正確な動作とかかり続ける負荷で、三角筋を適切かつ強力に鍛えることができるトレーニングです。
How To
- ケーブルマシンのケーブルを引く滑車(プーリー)の位置を低く調整します。
- マシンの横に立ち、マシン側の腕で柱を掴み反対の腕でグリップを持ちます。
- グリップを持った手を開くように上げていきます。
- 腕が床と水平になるくらいで切り返し、ゆっくりと下げていきます。
チューブサイドレイズ
チューブサイドレイズはトレーニングチューブを足で踏んだり床に固定して、ゴムの収縮する力を利用して腕を上げ下げするトレーニングです。
トレーニングチューブは両腕を上げるほど強度が高まって、全可動域で負荷が抜けないため、三角筋中部への刺激を強度に与え、より強く追い込むトレーニングができます。
How To
- トレーニングチューブの中央を足で踏み、両端をグリップして構えます。
- 肘を伸ばした状態で、背中を反らさないよう両手を横に上げていきます。
- 肩甲骨を寄せないよう、水平よりやや高い位置まで上げて切り返します。
- 下げるときはゆっくりと負荷をかけながら下ろしていきます。
【Q&A】サイドレイズについて多い質問
サイドレイズをトレーニングするとき、初心者によくある質問をまとめてみました。
正しいフォームでトレーニングすることも重要ですが、ちょっとした疑問が残ったままトレーニングすると怪我の原因となってしまう可能性もあります。
効果的なサイドレイズを行うためにもぜひ参考にしてみてください。
Q. サイドレイズは低重量でも効果はある?
サイドレイズは、正しいフォームで行えばしっかり三角筋に効果のあるトレーニングです。
無理をして高重量を扱うと、三角筋ではなく僧帽筋への働きが強くなるばかりか、肩を痛めてしまうことになりかねません。
低重量でも高回数行えれば効果を期待できるので、しっかりと正しいフォームと反復回数を重視してトレーニングしましょう。
Q. サイドレイズで肩が痛くなる原因は?
肩は痛めやすい部分でもあるので、サイドレイズを行う場合はきちんと正しいフォームで行わなければ肩が痛くなり、トレーニングに支障が出てしまいます。
サイドレイズを行う際、小指を上に上げて行うと肩が内旋します。肩の構造上、内旋と他の運動を組み合わせると関節が筋肉を挟み込んでしまい、肩を痛める原因になってしまうのです。
そのため、サイドレイズを行う際は小指側を上に上げないように注意すれば、肩が痛くなるのを防ぐことができます。
Q. サイドレイズは毎日やったほうがいい?
サイドレイズは毎日やらなければ鍛えられないというわけではありません。
基本的に、筋トレを行う場合は休息期間を入れなければオーバーワークとなり、怪我の原因となってしまいます。
また、激しい筋肉痛がある場合もトレーニングは控えるようにしましょう。
自分に合った頻度とセット回数で適切な筋トレを続けて、鍛えていくようにしましょう。
サイドレイズで三角筋中部を効果的に鍛えよう!
サイドレイズを行うと、三角筋を鍛えて肩をたくましくすることができます。
三角筋を鍛えることで正しい肩の使い方ができ、また、血流もよくなることにより肩こり解消や予防にも効果的です。さらに、このトレーニングはデスクワークでの肩の疲れ解消にも役立ちます。
サイドレイズはいかに重い重量を扱えるかではなく、どれだけ正しいフォームで決まった回数をこなせるかが重要なトレーニングです。
効率的に肩を鍛えるためにも今回の記事をぜひ参考にして、適切な頻度と回数でサイドレイズを行い、理想の肩を作り上げていきましょう。