ローバースクワット

ローバースクワットの効果・やり方|正しいフォームや重量・回数の目安

ローバースクワットはスクワット種目のひとつです。しかし、あまり聞き馴染みがなく「普通のスクワットと何がちがうの?」「初心者にもできるの?」と疑問を持つ方もいるかもしれません。

今回の記事では、そんなローバースクワットのフォームやより効かせられるコツを、初心者の方でも分かりやすく解説しています。

明日からすぐに実践できる内容となっているため、さっそく毎日のトレーニングに取り入れてみましょう。

ローバースクワットを続けると、いつのまにか高重量を挙げられるようになります。しっかりとフォームをマスターして、理想的な下半身を手に入れましょう。

ローバースクワットとは

ローバースクワット

ローバースクワットとは、ハイバースクワットよりも低い位置でバーベルを担いで行うスクワットです。

ハイバースクワットが首の根元や肩でバーベルを支えるのに対し、ローバースクワットは肩甲骨や三角筋でバーベルを支えます。

バーベルを担ぐ位置の違いによって、身体にかかる重心の位置も変化するのが特徴です。重心が変わることはフォームや動作にも影響し、効かせられる筋肉の部位も変化します。

ワンポイント

バーベルの位置が低い分、バーベルの重心と太ももとの距離が近くなることが特徴です。その結果、従来のスクワットよりも高重量を挙げられます。また、バーベルを担ぐ位置の違いはフォームや動作にも影響し、効かせられる筋肉の部位も異なってきます。

ローバースクワットが効果的な筋肉部位

ローバースクワットで鍛えられるのは、主に太ももの筋肉である大腿四頭筋やハムストリングス、お尻の筋肉である大臀筋(太ももやお尻の筋肉)です。

バーベルを支えるための副次的な筋肉として、(背中の筋肉や腹筋)脊柱起立筋や腹直筋も使用されます。

大腿四頭筋や大臀筋など身体の中でも大きな筋肉を中心に鍛えられるため、基礎代謝のアップも期待されます。そのため、ダイエットとしても有効なトレーニングです。

また、ローバースクワットは重心が後ろに偏るため、後ろ側にバランスを崩さないように前傾姿勢のフォームをとります。

前傾姿勢のまま動作をすると、下半身の後ろ側の筋肉が引っ張られ効率よく負荷をかけられます。太ももの前側だけでなく、ハムストリングスやお尻も効果的に鍛えられるトレーニングです。

ローバースクワットで使う筋トレマシン・器具

ローバースクワットは以下のような器具を用いて行います。使用するメリット・デメリットがそれぞれで違うため、解説していきます。

  • バーベル
  • パワーラック
  • スミスマシン(スクワット)

スクワットにはバーベルのみを利用したフリーウエイトと、スミスマシンを利用したマシンウエイトがあります。

フリーウエイトは、パワーラックにセットされたバーベルを担いで行うトレーニング方法です。支えがない状態でバーベルを担いで動作をするため、身体のバランスを取らなければなりません。

その際に、下半身だけでなく、腕や背筋、腹筋も使用するため、全身の筋肉はもちろん体幹も鍛えることができます。

ワンポイント

スクワットにはパワーラックを利用したフリーウエイトと、スミスマシンを利用したマシンウエイトがあります。フリーウエイトでは、支えがない状態でスクワットをするため、身体のバランスを取らなければなりません。下半身だけでなく、背筋や腹筋も使用するため、全身の筋肉はもちろん体幹も鍛えることができます。

しかし、重量が重すぎたり、ローバースクワットに慣れていなかったりすると、バーベルに潰される危険性があります。

フリーウエイトで安全にスクワットをするためには、正しいフォームや技術を身につけることが大切です。

一方で、スミスマシンには、安全機能がついているのでフリーウエイトのように押しつぶされる心配はありません。

また、バーベルを動かす軌道が決まっているため、技術のない初心者でも安全にトレーニングすることができます。

フリーウエイトでは辛くなってくると、鍛えたい部位以外の筋肉が使われてしまいます。軌道が決まっているマシンでは、補助的な筋肉が使われにくいため、鍛えたい部位をより追い込むことが可能です。

パワーラックやバーベル、スミスマシンはジムに行けば、基本的には設置されています。しかし、ネット通販でもパワーラックやバーベルは数千円~数万円、スミスマシンであれば20万円ほどで購入可能です。(ネット通販でも5~20万円ほどで購入可能です。)

ただし、かなり場所をとるため、あらかじめ設置場所を確保しなければならない点に注意しましょう。

ローバースクワットの平均重量(男女別)

スクワットの平均重量は、トレーニング期間はもちろんですが体重によっても変化します。

トレーニングを継続させるほど、技術が向上し筋肉量が増加していきます。さらに、体重が重い方がより高重量のウエイトを挙げることが可能です

まずは、日本の男女それぞれの平均体重を目安に、スクワットの平均重量を見ていきましょう。

性別 初心者 中級者 上級者
男性(60kg) 46kg 94kg 125kg
女性(50kg) 24kg 61kg 87kg

■※参考:https://strengthlevel.com/strength-standards/squat/kg

ここまで、ハイバースクワットの平均重量をみてきました。しかし、ローバースクワットには「ハイバースクワットよりも高重量を扱える」という特徴があります。それに関係するのが、ローバースクワットのフォームである「前傾姿勢」です。

前傾姿勢のまま上下運動をすると、通常のスクワットよりも股関節を曲げる角度が大きくなり、太ももの前面よりもハムストリングスや大臀筋がより多く使用されます。

通常、太もも前面よりもお尻や太ももの裏の筋肉のほうが大きな力を出すことができるので、結果的に高重量を扱いやすくなるという仕組みです。

この仕組みは、医学・生物学文献データベースPubMedに、以下の3種類のアスリートを被験者とした研究が掲載されています。

  • 国際レベルの6人の男性パワーリフター
  • 6人の男性オリンピック重量挙げ選手
  • レクリエーションで訓練された6人の男性アスリート

これらの被験者がハイバースクワットとローバースクワットのMAX重量を1回ずつ挙げる実験を行うと、それぞれのグループの間で関節角度の違いが観察されました。

そして、ハイバースクワットよりもローバースクワットの方が、より重たいウェイトを上げることに好ましいという結果が出た。と記されています。

ただし、このように高重量を持ち上げられる仕組みには個人差があり、必ずローバースクワットの方が高重量を挙げられるわけではありません。

基本的には、下半身の前側よりも後ろ側の方が大きな力は出せるので、ローバースクワットは高重量を挙げることに適したフォームであると言えるでしょう。

ハイバー/ローバースクワットの重心位置の違い

ローバースクワット

バーベルを扱うスクワットには、ローバースクワットの他にも「ハイバースクワット」と呼ばれる種目があります。どちらの種目も高重量のバーベルを扱うトレーニングです。

しかし、ローバースクワットとハイバースクワットでは、バーベルを担ぐ高さが異なります。

ローバースクワットは首の根元よりも下側、肩甲骨と三角筋でバーベルを支えます。一方でハイバースクワットでバーベルを支える位置は、首の根元や肩など、ローバースクワットよりも少し上です。

このように、それぞれの種目でバーベルを支える位置が違うため、身体への重心のかかり方も異なります。

ローバースクワットは少し下で支えるため、重心が後ろにかかりやすくなります。そのため、前傾姿勢になり重心を中央にもっていかなければなりません。

ハイバースクワットの場合にかかる重心は直立しているときと同じように、ちょうど足の真上にかかります。自然とフォームを安定させることができるため、初心者でも取り組みやすいトレーニングです。

ローバーの担ぎ方でハイバーの動作をしてしまうと、重心が後ろにかたより身体が後ろに倒れてしまう危険性があるため、注意が必要です。

ローバースクワットの正しいフォームとやり方

ローバースクワット

1.肩甲骨と三角筋で支えるようにバーベルを担ぐ
2.足を肩幅に開いた状態でつま先を30度程度外に向ける
3.膝を外に向けたままお尻を後ろに引きながら下ろす
4.お尻を持ち上げるようなイメージで最初の位置に戻す

1. 肩甲骨と三角筋で支えるようにバーベルを担ぐ

バーベルは肩甲骨と三角筋で支えるように担ぎます。三角筋とは肩の筋肉のことで、前部・中部・後部に筋肉が分かれています。

ローバースクワットでは三角筋の後部にバーベルを乗せ、肩甲骨の中心あたりで担ぐイメージを持ちましょう。このとき、肩甲骨は中央に寄せた状態を作り、手幅はなるべく狭くとります。

バーベルを担ぐと重心が後ろ側にかかるので、前かがみの姿勢になりバランスをとります。このとき意識すべきは背骨の状態と骨盤の角度です。背骨はまっすぐのまま、お尻を少し引くように骨盤を前に傾けるイメージで構えましょう。

2. 足を肩幅に開いた状態でつま先を30度程度外に向ける

足幅は、かかとがちょうど肩幅程度になるように開きます。つま先を外側に30度程度開き、膝はつま先と同じ方向に向けてください。

そうすることで、より深くしゃがむことができるようになり、お尻の筋肉や太もも裏の筋肉を効率的に鍛えられます。

このとき、足裏の真ん中に身体の重心がしっかりかかっているか、バーベルを支える肘が下がっていないかを確認しましょう。これがスタートポジションです。

3. 膝を外に向けたままお尻を後ろに引きながら下ろす

スタートポジションが完成したら、次はいよいよしゃがんでいきます。つま先と膝の角度は維持したまま、しっかりとお尻を沈めてください。目安としては、股関節が膝よりも低くなるまで深く下げていきましょう。

「ウエイトが重すぎて、深くまでしゃがめない」という場合は、ウエイトを軽いものに変えることをおすすめします。ローバースクワットは股関節の可動域が広く、深くまで下げることで効率よく鍛えられるトレーニングです。

重たすぎるウエイトを使用すると、可動域が狭くなったり、ケガの原因になったりします。ローバースクワットのメリットを享受できるように、自分に合った重さで取り組みましょう。

4. お尻を持ち上げるようなイメージで最初の位置に戻す

お尻を深くまで下げた次は、切り返して立ち上がる動作をします。このとき、バーベルよりも先にお尻が持ち上がってしまわないように注意しましょう。

お尻が先に上がってしまうと、フォームが前に崩れてしまい、腰に大きな負担がかかるため危険です。バーベルの重心はそのままに、足裏で身体全体を持ち上げるようなイメージでバーベルを持ち上げましょう。

ローバースクワットの重量や回数、セット数の目安

ローバースクワット

それでは、普段のトレーニングにローバースクワットを取り入れる場合、どのようなセットを組めばよいのでしょうか。自分が目指しているボディに1日でも早く近づけるように、目的に合ったトレーニングセットを組みましょう。

目的に合わせて重量や回数を設定する

筋力アップ、筋肥大、筋持久力の向上」など、目指すボディによってウエイトの重量や回数は変化します。その目安となるのが、RM(反復可能最大重量)という数値です。

RMは設定した重量で反復できる限界の回数を表します。例えば「10RM」なら「10回の反復動作が限界の重量」、「20RM」なら「20回の反復動作が限界の重量」ということになります。

それでは、トレーニングの目的別にRMの設定数を見ていきましょう。

目的 回数(RM)
筋力アップ 3〜7RM
筋肥大 8〜12RM
筋持久力の向上 13〜20RM

上記のようにRMをこなしていくと、最初に設定した回数以上に反復できるようになります。そんな時は、ウエイトを重たくするなど、目的に沿ったRMでトレーニングができるように調整しましょう。

セット数は3〜5回が目安

なりたい身体に沿ったRMを設定できたら、次に意識すべきはセット数です。トレーニングを1セット行うだけでは、特に初心者の方は十分に筋肉を追い込むことはできません。

基本的にセット数は3~4セットが目安です。メインセットに入る前に軽い負荷でウォーミングアップもしておきましょう。使用する筋肉が温まり、ケガの防止はもちろんメインセットでパワーを出しやすくなります。

また、セットを丁寧にこなしていくと、3、4セット目では重量を扱うことが厳しくなってきます。その場合は、回数を少なくするのではなく、ウエイトの重量を軽くしましょう。

筋肉を効率よく育てるには、重量よりもRM回数をしっかり守ることが大切です。

そして、トレーニングの間のインターバルも意識してみましょう。インターバルが短いと筋肉疲労が回復しにくく、そこから十分な負荷をかけることができなくなります。

基本は、約3分間のインターバルをとるように心がけることがおすすめです。いつもより強い疲労を感じる時は、無理をせずインターバルを長めにとりましょう。

ローバースクワットの効果を高めるコツ3つ

ローバースクワット

ローバースクワットは意識すべきポイントが多いスクワットです。しかし、それらをうまくトレーニングに活用できれば大きな効果をもたらしてくれます。

ここからは、ローバースクワットを行う際に、さらに下半身への効果を高める3つのコツを紹介します。できることから意識して、最速で引き締まった下半身を手に入れましょう。

コツ1. 立ち上がるときも膝は外に向けたままをキープ

ローバースクワットのスタートポジションでは、つま先と膝が外を向いています。この状態を、しゃがむときも立ち上がるときも常にキープしましょう。

膝が内側に入ったまま動作をしてしまうと、膝にかなりの負担がかかりケガをしてしまう恐れがあります。

実は、膝を内側に向かせると楽にバーベルを挙げられます。そのため、ギリギリの重量でスクワットを行っていると、膝を内側に入れたくなるかもしれません。

膝をケガしないためにも、膝を内側に入れたい気持ちをグッとこらえ、つま先と膝を外に向けた状態を維持しましょう。

コツ2. 太ももと床が平行になるよりも深くお尻を下げる

ローバースクワットを行う際に、深くまでしゃがむことを意識しましょう。お尻を下げるほどハムストリングスや大臀筋がしっかりストレッチされ、効率よく鍛えることが可能です。

ただし、ローバースクワットは股関節の可動域が大きく、深くしゃがむにはある程度の股関節の柔軟性が必要となります。無理に深くまで下げずに、徐々にフォームに慣れていきましょう。

また、ウエイトの重さも意識することがポイントです。あまり重たすぎるウエイトで、股関節を少ししか動かせないよりも、適正な重量でしっかり深くまでしゃがむ方が、より効率的に筋肉を鍛えることができます。

コツ3. スクワット中は正しい呼吸法を意識する

ウエイトトレーニングの呼吸は、筋肉が縮むときに息を吸い、筋肉が伸びるときに息を吐くことが基本です。

しかし、ローバースクワットのような高重量を扱うトレーニングでは、力が最も必要な局面で「息を止める」人が多くみられ、このような呼吸法は「ヴァルサルヴァ法」と呼ばれています。

スクワットであれば、立ち上がるときに息を止めることで、腹圧や体幹力が高まり、筋肉が力を出しやすくなる呼吸法です。

これらのことを踏まえ、ローバースクワットには、しゃがむ動作では大きく息を吸い、切り返し立ち上がるまでは息を止める。スタートポジションに戻ったら息を吐く。というような呼吸法が最適といえるでしょう。

【Q&A】ローバースクワットについて多い質問

ローバースクワット

ローバースクワットは、バーベルを使った種目の中でも慣れるまで少し時間がかかる種目です。バーベルを扱い慣れていない初心者の方にとっては多くの疑問点が出てくることもあるでしょう。

ここからは、そんな初心者が共通して感じる疑問点について、解決策をまとめています。

Q. しゃがんだ時に膝がつま先より前に出てもいいの?

結論から言うと、膝はつま先より前に出てもかまいません。膝が出るか出ないかは個人の足の長さによって変わるためです。太ももの長い方は、つま先よりも前に出やすくなります。

スクワットにおいて最も大切なことは、バーベルの位置が身体の重心の真上にあることです。膝を前に出さないように意識しすぎてバーベルの重心がズレると、腰を痛めてしまう危険性が高まります。

正しいフォーム、正しい動作を行う過程で膝が前に出てしまうことは問題ありません。

Q. 初心者はどれくらいの重量から始めればいいの?

ローバースクワットはより重たい重量を持ち上げることに適したトレーニングですが、他のスクワットとは違うフォームをとります。

そのため、初心者の方はローバースクワットのフォームや、バーベルの担ぎ方に慣れることが大切です。

この記事で前述した、スクワットの平均重量にとらわれすぎないように注意しましょう。まずは、簡単に持ち上げられる重量から始め、徐々にウエイトを重たくしていくことがおすすめです。

Q. うまく背中に乗せられない人はどうすればいいの?

ローバースクワットは担ぎ方が少し特殊なため、痛くてうまく担げない方もいるかもしれません。そんな時に考えられる原因として「手首や肩甲骨の柔軟性が足りない可能性」が挙げられます。

トレーニング前に背中や手首のストレッチを行い、できるだけ柔軟性が高くなった状態でバーベルを担ぎましょう。

これらのことを意識すれば、バーベルを肩に乗せたときに安定する位置が分かるようになります。

ローバースクワットで太ももやお尻を効果的に鍛えよう!

ローバースクワットは、下半身の中でも特にお尻側の筋肉を効率的に鍛えられます。また、通常のスクワットよりも高重量を挙げられるので、バーベルの重量を更新したいという方にも最適なトレーニングです。

重心の位置や前傾姿勢など、初心者の方にとっては取り組みにくいと感じることもあるかもしれませんが、本記事で紹介したやり方やコツをできることから実践してみましょう。

最初のうちは無理のない重量から始め、徐々に慣れていくことがとても大切です。

ローバースクワット
最新情報をチェックしよう!