ヒップレイズはその名の通り、ヒップをゆっくりと持ち上げる動きで行う筋力トレーニングです。横になれるスペースさえあれば、どこでも気軽に行えます。
「下腹部のポッコリが気になる」「垂れたおしりを引き締めたい」という悩みの解消に有効なだけでなく、胃下垂や腰痛の改善にもつながるため、女性にも人気のメニューです。
ここではヒップレイズの効果的なやり方や、実践する上で気をつける点などについて、詳しく説明していきます。
ヒップレイズとは
ヒップレイズとは、主に腹筋の下部を刺激するトレーニング種目です。仰向けになってヒップを持ち上げるというシンプルなトレーニングで、引きしまった下半身が手に入ります。
特別な器具などは必要なく、自宅で気軽に取り組むことができます。
ヒップレイズが効果的な筋肉部位
ヒップレイズは下半身を上に持ち上げるトレーニングであり、主に鍛えられるのは腹直筋の下部に当たる部分です。腹筋と言われる筋肉の、おへそよりも下の部分と考えるとわかりやすいのではないでしょうか。
また、上半身と下半身をつないでいるインナーマッスルの腸腰筋や、おしりの筋肉である大殿筋にも効果的に負荷を与えます。
この部分を鍛えると、お腹が引き締まって姿勢が良くなるほか、ヒップアップ効果や代謝の向上など、さまざまなメリットが期待できます。
ヒップレイズとリバースクランチの違い
リバースクランチも、ヒップレイズ同様に腹直筋の下部を鍛える筋トレです。ヒップレイズとリバースクランチの違いは、フォームと作用するインナーマッスルにあります。
ヒップレイズでは下半身を真っすぐ上に持ち上げますが、リバースクランチは足を曲げて行います。足を曲げることで、腹直筋の上部やインナーマッスルの腹横筋にも、負荷を与えるのがリバースクランチの特徴です。
どちらも腹筋を鍛える目的で行われる種目ですが、腹直筋下部へのアプローチをメインにしたい場合はヒップレイズがおすすめです。
ヒップレイズの正しいフォームとやり方
ヒップレイズで効果的に腹筋に負荷を与えるには、正しいフォームで実践することが不可欠です。ここではヒップレイズのやり方を、順を追って説明していきます。
1. 仰向けになり、両手はまっすぐ体の横に下ろす
まず床に仰向けになって横たわります。両腕は身体から少し離して、おしりの脇にカタカナの「ハ」の字になるように下ろして置きます。軽く足を曲げた状態で、身体の力を抜き、リラックスしましょう。
床の固さが気になる場合は、直接床に寝るのではなく、身体の下にヨガマットやラグ、トレーニング用のマットなどを敷くことをおすすめします。
2. 頭・肩・腕で身体を支えながら足を上げる
床に手のひらをついて、頭と肩、両腕で身体を支えながら、両足を骨盤から垂直になるよう持ち上げます。膝を伸ばした状態をキープするよう注意しましょう。この体勢がスターティングポジションです。
この時、手や肩で床を押さないように注意しましょう。あくまでも負荷を与える対象は腹直筋なので、お腹の力だけで足を上げるようにし、頭や肩、腕は身体を支えるのに留めておきます。
3. 腹筋の力で、腰から下をさらに高く持ち上げる
頭・肩・腕の3点で身体を支えながら、さらに足を高く持ち上げます。おしりから腰にかけての部分も、床から離してしっかりと上げていきます。伸ばした足が、天井に届くようなイメージで行うといいでしょう。
この時、足の反動を使ったり、腕の力で持ち上げたりしないよう注意し、腹筋の力だけで下半身を上げていくよう意識しながら行います。
4. 天井を蹴るように持ち上げたら元の位置に戻る
天井を蹴るように足を限界まで持ち上げたら、今度はゆっくりと元に戻していきます。
この際、重力にまかせて足をバタンと下ろすのではなく、腹筋に負荷をかけながらゆっくり下ろしていくことで、トレーニングの効果が高まります。
筋肉は収縮する時よりも、伸長時に大きな負荷がかかるという特徴があります。ゆっくりと一定の速度で足を下ろすよう、注意して行いましょう。また、下ろした足は床につけずに、そのまま次の動作へと移るようにします。
ヒップレイズの回数やセット数の目安
自重を使ったトレーニングでは、「ターゲットとする筋肉に、きちんと負荷を与えているかどうか」という点にフォーカスして行うことが大切です。
ここでは効果的にヒップレイズを行うための、レベルごとの回数やセット数の目安についてご紹介します。
初心者・中級者・上級者のレップ数の目安
ヒップレイズは回数をたくさん行うよりも、しっかりとしたフォームで、腹筋にきちんと負荷をかけながら実践することが重要です。
最初のうちは10回でもつらいかもしれませんが、その場合は7回からスタートするなど、自分が正しいフォームで行える回数で始めましょう。
むやみに回数を増やしても、疲れてフォームが崩れてしまっては意味がありません。上級者の場合、物足りないと思ったら、膝の間にボールを挟むなどして、負荷を上げてトレーニングしてみましょう。
レベル | 回数 |
---|---|
初心者 | 10回 |
中級者 | 15回 |
上級者 | 20回以上 |
セット数は3〜5回が目安
ヒップレイズのセット数は、初心者の場合10回を3セットから始め、慣れていって楽にクリアできるようになれば、4セット、5セットと徐々に増やしていくといいでしょう。
単純に回数だけを増やしても、腕や肩、腰など腹筋以外の部分の力を借りて行ったり、反動を使って足を上げたりすると、腹筋に負荷は与えられないため、トレーニングの効果は薄れてしまいます。
適切なフォームで、腹筋の力で行える範囲の回数を見極めながら、実践するようにしましょう。
ヒップレイズの効果を高めるコツ3つ
効果的にヒップレイズを行うためには、気をつけなければならないポイントがいくつかあります。ここでは、特に注意すべき3つの「コツ」をお伝えします。
正しいフォームとやり方で、効率良く腹筋のトレーニングを行いましょう。
コツ1. 一つ一つの動作に反動を使わない
腹筋を効果的に鍛えるには、腹筋以外の筋肉を使わずにトレーニングすることが大切です。
特に初心者の場合は、ヒップレイズで腰から下を持ち上げる際に、勢いをつけてその反動で足を上げようとしてしまいがちです。
トレーニングの目的である筋肉をメインで使わないと、負荷がかからず効果が薄れてしまいます。
また反動をつけてしまうと、足を下ろした時にその勢いで腰を痛めてしまう恐れもありますので、常に腹筋のみを動かすよう意識しながらトレーニングをしていきましょう。
コツ2. 首から上は固定しアゴを上げない
ヒップレイズを行う際、首から上は床から離さず、動かさないように注意します。
下半身を持ち上げる際に、頭が動いてアゴが上に上がってしまうと、背中が反った「反り腰」の状態になります。反り腰になると腹筋の緊張がキープできず、ヒップレイズのターゲットである、腹直筋下部にかかる負荷が減ってしまいます。
こうなると筋トレの意味がありませんので、しっかりとアゴを引いた状態で、腹筋に力が入っているのを意識しながら、トレーニングを続けることが大切です。
コツ3. 手・肩・後頭部で下半身を支える
特に初心者の場合は、下半身を持ち上げる際に手や肩で床を押してしまいがちです。しかし、この床を押す力で身体を持ち上げても、腹筋には負荷がほとんどかかりません。
腹筋に負荷をかけることがヒップレイズの目的なので、床を押す力を借りるのではなく、腹筋の力で足を上げていくことが重要です。
もしどうしても腹筋に力が入らなかったり、足が上手く上がらなかったりする時は、無理に高く上げようとせず、今できる範囲でフォームを崩さずに行うようにしましょう。
【Q&A】ヒップレイズについて多い質問
以下では、ヒップレイズについて多い質問・疑問について回答します。
Q. ヒップレイズとヒップリフトの違いは?
ヒップリフトは仰向けの状態で膝を立てて、足を床につけたまま、おしりを持ち上げたり下ろしたりして行うトレーニングメニューです。
腹筋に作用するヒップレイズに対し、ヒップリフトは主に大殿筋やハムストリングス(おしりの付け根から太ももにかけての筋肉の総称)に作用し、下半身を鍛えるのに効果があります。
ヒップアップを目指す方は、ヒップリストもあわせて行うといいでしょう。
Q. ヒップレイズが難しいときの対処法は?
ヒップレイズは腹筋にかかる負荷が大きいメニューなので、「うまくできない」という方もいるでしょう。
腹筋の力が弱くて足が上がらない方や腰が痛くて続かない方は、無理をして高く上げようとすると、つい足の反動や手で床を押す力を使ってしまいがちです。それでは「腹筋を鍛える」というヒップレイズの目的は達成できません。
できる範囲で構わないので、正しいフォームを意識しながら、腹筋の力だけで持ち上げるようにしてみましょう。
Q. リバースプランクヒップレイズのやり方は?
「リバースプランク」は「逆プランク」とも呼ばれ、「プランク」の反対の体勢、つまり仰向けになって上体を起こし両肘で身体を支えている状態のことを言います。この状態でおしりを上げたり下ろしたりするのが、リバースプランクヒップレイズです。
リバースプランクヒップレイズでは、おしりを上げた際に、頭と腰、大腿部が一直線になるようイメージしながら行いましょう。
リバースプランクヒップレイズは大臀筋や、脊柱起立筋など背中の筋肉を鍛えるのに効果的なメニューです。
ヒップレイズで下腹部のインナーマッスルと大臀筋を効果的に鍛えよう!
ヒップレイズは腹直筋の下部に働きかけるだけでなく、大臀筋やインナーマッスルを鍛える効果のあるトレーニング方法です。
大臀筋を鍛えるとおしりが引き締まるため、ヒップアップにつながるのはもちろん、骨盤が安定して姿勢も良くなります。
また上半身と下半身をつなぐインナーマッスルの、腸腰筋を鍛える効果もあります。腸腰筋は、歩いたり自転車をこいだりする際にもよく使われる筋肉です。
ヒップレイズで下腹部の筋肉を効率的に鍛えて、すっきりと引き締まった下半身を実現し、健康な毎日を手に入れましょう。