ダンベルなどのウェイトを使用するゴブレットスクワットは、通常のスクワットよりも高い負荷をかけられ、太ももやお尻を効率よく鍛えられます。
ゴブレットスクワットはバーベルのような大きな器具は必要ありません。自宅にいながらでも効率的に下半身を引き締めてくれるトレーニングです。
この記事では、そんなゴブレットスクワットの効果的なやり方や正しいフォームについて解説していきます。正しいやり方をしっかりマスターして、理想的な下半身を手に入れましょう。
ゴブレットスクワットとは
ゴブレットスクワットとは、胸の前でダンベルやケトルベルを持ちながら行うスクワットです。通常のスクワットにウエイトを加えて動作をするので、下半身により高い負荷をかけることができます。
ダンベルやケトルベルを持っていないという方でも、水入りの2Lペットボトルで代用可能です。自宅で簡単に取り組むことができるので、今すぐにでも始められます。
ゴブレットスクワットの「ゴブレット」という名前は、両手でダンベルやケトルベルを持つことが由来とされています。ゴブレットはワインを注ぐグラスのような形をした容器のことです。ダンベルやケトルベルを持ったときに、両手で大きなグラスを持っているような見た目から、ゴブレットスクワットと呼ばれています。
ゴブレットスクワットが効果的な筋肉部位
一般的にスクワットは下半身を鍛えるトレーニングです。その中でもゴブレットスクワットでは、膝関節の曲げ伸ばしに関与している大腿四頭筋を中心に、ハムストリングスや大臀筋を鍛えられます。
その他にも脊柱起立筋や、腹直筋がバランス維持のために使用され、上腕筋や肩の筋肉がウエイトを支えるために使用されます。
そのため、ゴブレットスクワットは全身の筋肉を鍛えることができるトレーニングといえるでしょう。通常のスクワットよりも消費エネルギーが大きくなり、筋肉増量による代謝のアップも期待されます。
ゴブレットスクワットは筋肥大だけでなく、ダイエットにも効果的なトレーニングです。
ゴブレットスクワットとノーマルスクワットの違い
ゴブレットスクワットは胸の前でウェイトを持つ特徴があります。重量を追加する分、通常のスクワットと比べて高負荷をかけられるため、下半身の筋肉を効率よく鍛えることができるトレーニングです。
通常のスクワットはしゃがむときに前傾姿勢になりやすく、スクワット中の意図しない前傾姿勢は腰を痛める原因にもなります。
ゴブレットスクワットは全身の筋肉が使用されるため、フォームが安定し腰に負荷がかかりにくくなることも特徴のひとつです。
また、安定したフォームを維持することはお尻を深くまで下げやすくし、大臀筋にしっかり負荷をかけられるようになります。
ゴブレットスクワットの正しいフォームとやり方
1. ウエイトを胸の前で持ち、肩幅よりもやや広く足を開く
スタートポジションとして、両手でダンベルやケトルベルなどのウエイトを持ちます。両手のひらを上に向け、ダンベルを支えるように使い胸の前で構えた後、足を肩幅よりも少し広く開いた状態で立ちましょう。
足の幅が狭くなると股関節の可動域が狭まり、太ももやお尻にうまく負荷をかけることができなくなります。
また、両手で保持しているウエイトに目線が行きがちですが、目線が下がると背中が曲がる原因となります。トレーニング中は常に真っ直ぐ前を見るように意識しましょう。
2. 椅子に座るようにお尻を後ろに引きながら脚を曲げる
スタートポジションはウエイトを胸の前で持っているため、重心が前側に偏っている状態です。そのまま真っ直ぐ下にお尻を下ろすとバランスを崩してしまう危険性があるため注意しましょう。
コツとしては、お尻を後ろに引きながら脚を曲げることです。ちょうど、後ろにある椅子に座るような感覚でお尻を下げると、うまくバランスをとりながらしゃがむことができます。
3. 太ももと床が平行になるよりも深くお尻を下げ1~2秒止める
後ろに椅子があるイメージのまま、お尻を太ももと床が平行になるよりも深くなるまで下げていきます。
そして、お尻を下げきったところで1~2秒ほど停止します。このとき、肩が前に出ないように胸を張って、目線は常に真っ直ぐ前を見るように意識しましょう。背中が丸まってしまうと腰痛の原因になるので注意が必要です。
4. かかとで踏ん張るように立ち上がり最初の位置に戻す
お尻を深く下げた後は、フォームを崩さずに真っ直ぐ立ち上がりましょう。立ち上がる際にしゃがんだときの反動を利用してしまうと、膝関節を痛める原因になるので注意が必要です。
また、立ち上がるときはつま先立ちにならないように、足の裏全体で床を押すようにしましょう。特にかかとで踏ん張るように立ち上がると、大腿四頭筋をフルに使うことができ、身体のバランスも保ちやすくなります。
ゴブレットスクワットの重量や回数、セット数の目安
日々のトレーニングでゴブレットスクワットを取り入れるときは、あらかじめ重量や回数を設定しなければなりません。しかし、トレーニングの目的やなりたい身体によって、最適な重量や回数は変化します。
正しい知識で、自分の目的に合った最適な重量やセット数を知り、効率的なトレーニングプログラムを組みましょう。
目的に合わせて重量や回数を設定する
「筋力アップ、筋肥大、筋持久力の向上」など、目指すボディによってウェイトの重量や回数は変化します。その目安となるのが、RM(反復可能最大重量)という数値です。
RMは設定した重量で反復できる限界の回数を表します。例えば「10RM」なら「10回の反復動作が限界の重量」、「20RM」なら「20回の反復動作が限界の重量」ということになります。
これはゴブレットスクワットのように、比較的簡単に取り組めるようなトレーニングにおいても同じです。それでは、トレーニングの目的別にRMの設定数を見ていきましょう。
目的 | 回数(RM) |
---|---|
筋力向上 | 3~7RM |
筋肥大 | 8~12RM |
筋持久力向上 | 13~20RM |
上記のようにRMをこなしていくと、最初に設定した回数以上に反復できるようになります。そんなときは、ウエイトを重たくするなど、目的に沿ったRMでトレーニングができるように調整しましょう。
セット数は3〜5回が目安
目的に沿ったRMを設定できたら、次に意識すべきはセット数です。ゴブレットスクワットのようなトレーニングは、初心者はうまく負荷をかけられない場合もあります。
そのため、1セットだけのトレーニングで十分に筋肉を追い込むことは難しいです。基本的にセット数の目安は3~5セットになります。
また、メインセットに入る前に、通常のスクワットをするなどのウォーミングアップをしておきましょう。使用する筋肉が温まり、ケガの予防になります。
セットを丁寧にこなしていくと、4、5セット目では重量を扱うことが厳しくなります。そのときは、回数を少なくするのではなく、ウエイトの重量を軽くしましょう。
筋肉を効率よく育てるには、重量よりもRM回数をしっかり守ることが大切です。
ゴブレットスクワットの効果を高めるコツ3つ
ゴブレットスクワットは、自宅にいながらでも下半身を効率よく鍛えることができるトレーニングです。さらに、以下の3つのポイントを意識するだけで、トレーニング効果をアップさせることができます。
慣れないうちは一つずつクリアしていき、段階的にトレーニング効果を高めましょう。
コツ1. 胸を張った状態を維持したまま腰を丸めずにしゃがむ
ゴブレットスクワットのフォームは胸の前でウエイトを持つため、ウエイトの重さによって肩が前に出てしまいがちです。肩が前に出ると背中や腰が曲がってしまい、身体を痛める原因となります。
そこで、スタートポジションの時点でしっかり胸を張り、目線は常に前に向くように意識しましょう。すると、身体のバランスを取りやすくなり、太ももへ意識を集中させることができるようになります。
胸を張ることは自然と背中も伸びることに繋がります。腰痛対策にも効果的なフォームなので、意識してトレーニングに取り組みましょう。
コツ2. 大きな呼吸を意識し、すべての動作をゆっくり行う
トレーニングにおける呼吸方法の基本は、筋肉が縮むときに吸い、伸びるときに吐き出すことです。ゴブレットスクワットで例えると、しゃがむときに息を吸い、立ち上がるときに吐き出します。
この呼吸法を習得すると、より効率的に筋肉に負荷をかけることができます。しかし、姿勢を整えたりウエイトを持ったりすることに意識が集中しすぎて、呼吸がおろそかになってしまいがちです。
呼吸を止めたままトレーニングをしてしまうと、うまく筋肉に負荷をかけられません。
また、初心者にありがちなのは、回数を意識しすぎて動作を早くしてしまうことです。しゃがんだ反動でお尻を上げてしまうと、膝を痛める原因になってしまいます。
筋肉にかかる負荷も低くなってしまうため、筋肉に効いていることを実感しながらゆっくりトレーニングしましょう。
コツ3. つま先を外に向け、お尻をなるべく深く下げる
つま先を外に向けると、股関節が開きお尻を深く下げられるようになります。また、お尻を深く下げると大腿四頭筋や大臀筋に高負荷をかけられるため、さらに効果的に鍛えることが可能です。
トレーニングを始めたばかりで股関節の柔軟性がない方は、深く下げることが難しい場合があります。股関節が硬い状態で無理をしてお尻を下げると、ケガをしてしまう可能性もあります。
一気に深く下げることは避け、少しずつ股関節を慣らしましょう。
ポイント
ゴブレットスクワットをしていると、かかとが上がりつま先立ちになってしまう方がいます。しかし、つま先立ちはフォームのバランスを崩す原因になってしまうので、しっかり足裏全体を地面に付けるように意識しましょう。
立ち上がるときに足裏で地面を押し上げるように意識すると、太ももやお尻にうまく負荷をかけられます。
ゴブレットスクワットの種類・バリエーション
ここまでゴブレットスクワットのフォームや効果を解説しましたが、その中に「ダンベル」と「ケトルベル」という言葉が出てきたのを覚えていますでしょうか。
この2つは、ゴブレットスクワットのウエイトとして欠かせないトレーニング器具で、それぞれ違った特徴を持っています。
ケトルベル・ゴブレットスクワット
ケトルベルとは、球状のウエイトの上側に持ち手がついた器具です。片手で扱うダンベルやペットボトルなどのウエイトとは、グリップする箇所や重心が違うことが特徴です。
ダンベルはグリップしている箇所が重心となりますが、ケトルベルは持ち手と重心が上下に離れています。同じ重量でも重たく感じるトレーニング器具がケトルベルです。
ケトルベル・ゴブレットスクワットはダンベルと比べて扱いづらい球体を支えるため、バランス力が求められます。その分、ダンベルを用いたゴブレットスクワットよりもインナーマッスルを効果的に鍛えられます。
フォームとしては、ウエイトの持ち方以外、通常のゴブレットスクワットと同じです。
How To
- 胸の前でケトルベルの持ち手、又は球体の横側を両手で持つ
- 椅子に座るようにお尻を後ろに引きながら脚を曲げる
- 太ももと床が平行になるまでお尻を下げ1~2秒止める
- かかとで踏ん張るように立ち上がり最初の位置に戻す
ダンベル・ゴブレットスクワット
ダンベルを用いたゴブレットスクワットは、初心者でも特に取り組みやすいトレーニング方法です。中には重量を変えられるダンベルもあるため、セット数によって最適な重量が選択できます。
もし、自宅にダンベルがないという場合でも、水の入った2Lペットボトルなど日常的なアイテムで代用可能です。ダンベル以外を使用する場合でも、通常のゴブレットスクワットと同じフォームで取り組みましょう。
How To
- 胸の前でダンベルを縦にし両手のひらで上側を支える
- 椅子に座るようにお尻を後ろに引きながら脚を曲げる
- 太ももと床が平行になるまでお尻を下げ1~2秒止める
- かかとで踏ん張るように立ち上がり最初の位置に戻す
【Q&A】ゴブレットスクワットについて多い質問
ここまで、ゴブレットスクワットのフォームやコツを紹介してきました。しかし、いざトレーニングを始めるとなると、いろいろな疑問点が出てくるでしょう。
自宅で簡単にできるトレーニングといえど、やり方を間違えたままだと筋肉はなかなか大きくなりません。最悪、関節や筋肉を痛めてしまう危険性もあります。
ここからは、ゴブレットスクワットをする上で初心者に共通する疑問点を解説していきます。
Q. 初心者のウエイトの重さはどれぐらいが目安?
トレーニングウエイトの平均重量は、その人の体重によっても変化します。男性の平均体重である60kgに対して、ウエイトの重量は10~15kgが目安です。
女性は50(~55)kgが平均体重ですが、男性よりも筋力が少ないため5~8kgを目安にトレーニングしましょう。
男女とも25kgを超えると、正しいフォームで行わなければケガをする危険性が高まるので注意しましょう。
また、この記事でも解説した「RM」を意識し、まずは目的に適した重量や回数を見つけることから始めるとよいでしょう。
繰り返しますが、筋力アップは3~7RM、筋肥大の場合は8~12RM、筋持久力の向上は13~20RMが目安です。
一方で、初心者の方はフォームが完成していない場合も考えられます。フォームに集中しながら、最初は軽い重量で始めてみることがおすすめです。
そこから、徐々に重量をあげていき、理想的な下半身へと育てていきましょう。
Q. 腰を痛めやすい体質の人は取り組まない方がいい?
腰を痛めやすい方でもフォームに注意すれば取り組んでもかまいません。トレーニングを始めた方の中には、スクワットやデッドリフトをすると腰を痛めてしまわないか不安に感じる方もいます。
実際に、ゴブレットスクワットは必要以上に前傾姿勢になってしまうと、腰に負担がかかることも事実です。
しかし、正しいフォームを習得すれば腰を痛めやすい方でも安心して取組めるトレーニングなのがゴブレットスクワットです。
腰を痛めないか不安な方は、比較的軽い重量から始めるなど徐々に体を慣らしていきましょう。急に高重量にチャレンジすることは腰を痛める原因になりますので控えましょう。
Q. しゃがんだときに膝がつま先よりも前に出てもいいの?
結論から言うと、膝はつま先より前に出てもかまいません。膝が出るか出ないかは個人の足の長さによって変わるためです。
よく、スクワットをするとき「膝が前に出るとケガをする」と言われていますが、その根拠となっているのは50年以上前のアメリカの研究論です。
この研究論は、1972年にマサチューセッツ大学から発表された論文が元になっています。しかし、被験者が3名と少なく、どの筋肉が作用して膝を痛めるのかなど詳細が分かっていません。
そして、2013年にゲーテ大学が発表した論文で、この研究論は研究結果として引用すべきではない(誤ったデータ解釈であると否定)とされています。
正しいフォーム、正しい動作を行う過程で膝が前に出てしまうことは問題ありません。ただし、膝が出すぎて前傾姿勢になってしまわないように注意しましょう。
ゴブレットスクワットで太ももやお尻を効果的に鍛えよう!
ゴブレットスクワットは、いつものスクワットにひと手間加えるだけの、自宅でも気軽に行えるトレーニングです。
「バーベルスクワットをしたくてジムに来たけれど、すでに使用されていてできない」こんな状況でも、ウエイトさえあれば効果的に下半身を鍛えられます。
誰でもすぐに取り組めるゴブレットスクワットは、トレーニング初心者でも気軽に挑戦できます。フォームをマスターして、引き締まった理想的な下半身を手に入れましょう。