フロントスクワットで大腿四頭筋にしっかり効かせるトレーニングのやり方やコツについて詳しくご紹介します。
フロントスクワットは通常のスクワットと比べると難易度が高めですが、
- スポーツパフォーマンス向上
- 基礎代謝向上
- 下半身の引き締め
- ガッシリとした太もも作り
など、幅広い効果を狙えるトレーニングです。
初心者の方でも怪我のないように、正しいフォームの作り方や重量設定についても解説しているので参考にしてください。
フロントスクワットとは
フロントスクワットとは、首の前側の位置でバーベルやダンベルを担ぎスクワット動作を行うトレーニングです。
通常のスクワット動作にバーベルでさらに負荷をかけるため、より高負荷がかけられますが正しいフォームを習得していないと腰や膝を痛めやすく、どちらかというと難易度の高いトレーニングです。
通常のスクワットやデッドリフトの後に補助種目として取り入れるパターンが多いです。
フロントスクワットが効果的な筋肉部位
フロントスクワットでは以下の部位を効果的に鍛えられます。
- 大腿四頭筋
- 大臀筋
- ハムストリングス
- 体幹
フロントスクワットは上半身を垂直に保つフォームによって、大腿四頭筋に効果的に効かせられるトレーニングです。
大腿四頭筋は人の筋肉の中で一番大きな筋肉で、名前の通り「大腿直筋・外側広筋・内側広筋・中間広筋」の4つの部位で構成されています。
膝関節を伸展させる作用があり、普段の歩いたり走ったりする動作だけでなくスポーツ分野でも重要な筋肉です。
通常のスクワットと同様に大臀筋やハムストリングスも補助的に鍛えられます。また、バランスを保つために体幹の強化にも効果的と言われています。
フロントスクワットで使う筋トレマシン・器具
フロントスクワットでは以下の筋トレマシンや器具を使用します。
- バーベル
- パワーラック
- ストラップ
基本的にはバーベルさえあれば取り入れられるトレーニングですが、手首が硬い方だとなかなかフロントスクワットでバーベルを保持するのが難しい場合が多いです。
シャフトに手が届かない場合にはエイトストラップなどを使ってバーベルを持つようにしましょう。
また、ジムではセーフティーバーを装備したパワーラックを使うと安全にトレーニングできます。
フロントスクワットの平均重量(男女別)
フロントスクワットで上げられる重量は、その人の体重やトレーニングレベルによってかなり幅があります。
そのためあくまで目安となりますが、慣れている方なら体重75kgの男性で90kg~100kg、体重55kgの女性で50kg~55kg程度が平均重量になります。
初心者の方だと、男性なら自分の体重、女性なら体重の約70%の重量が一つの目標になります。
また、正しいフォームを習得する際には、怪我や事故を防ぐために低重量で実施するようにしましょう。
フロントスクワットとバックスクワットの違い
フロントスクワットがバーベルを身体の前で持つのに対して、バックスクワットではバーベルを身体の後ろ(背中側)で持ちます。
フロントスクワットとバックスクワットは、バーベルを持つ位置の違いによってトレーニング効果や身体にかかる負担が変化します。
バックスクワットはバーベルを背中で担ぐため、手首の柔らかさなどを心配する必要がなく、比較的初心者でも実施しやすいのが特徴。ただし、脊柱や膝に負荷がかかりやすいため注意が必要です。
フロントスクワットは、バーベルを身体の前で担ぐため、脊柱への負担や膝への負荷が少ないのが特徴。ただし、フォームが若干難しく、ストラップなしでトレーニングする場合には手首の柔らかさが必要になります。
フロントスクワットの正しいフォームとやり方
フロントスクワットの正しいフォームとやり方は以下の通りです。
一つずつ詳しくやり方を確認してみましょう。初心者の方は、ウエイトを外してシャフトだけでフォームを習得するようにします。
1. 足先を外側に向け、肩幅の広さに開く
フロントスクワットでの足の幅は、通常のスクワットと同じように肩幅くらいに開きます。膝を屈曲させやすいように、足先は少し外側に開くようにします。
自宅でバーベルだけでフロントスクワットを実施する場合にはバーベルは床に置きます。ジムなどでパワーラックを使って実施する場合には、バーベルをラックにセットしましょう。
2. バーベルをラックアップして身体の前で担ぐ
息を吸い胸を張って、上半身を垂直にします。トレーニング中は常にこの姿勢をキープしないと、バーベルが保持できません。
バーベルを持ち上げ、肘を前へ上げるようにして肩の前面にバーベルを担ぎます。左右の手・左右の肩の前面・首の前面の5点がバーに触れるようにします。指は人差し指から薬指までの3本がバーに引っかかっていれば十分です。
3. 上腿が床と平行になる位置までゆっくりしゃがむ
胸を張って上半身を垂直に保ったまま、3秒かけてしゃがみます。
膝は外側を向いた足先と同じ方向へ外側に開くように曲げていきます。
スクワットの競技では足の付け根が膝より下に来るまで屈曲させることが求められますが、普通のトレーニングであれば上腿が床と平行になる位置まで下げれば十分です。
しゃがんだ際に上半身を前傾させないように注意します。
4. 大腿四頭筋へ負荷をかけながら立ち上がる
大腿四頭筋への負荷を感じながら、3秒かけて元の位置まで立ち上がります。膝を完全に伸ばしきってしまうと、負荷が抜けてしまうので少し曲げた状態の位置で止めて、次の動作に入ります。
以上の動作を設定した回数分繰り返します。
横から見た時に、シャフトができるだけ垂直に同じ軌道で上下するようなフォームを意識しましょう。
フロントスクワットの重量や回数、セット数の目安
フロントスクワットをトレーニングに取り入れる際の重量や回数の設定方法について紹介します。
やみくもにトレーニングするだけでは狙った効果は得にくいため、何のためにフロントスクワットを取り入れるのか意識してメニューを組むようにしましょう。
目的に合わせて重量や回数を設定する
筋力トレーニングは、使用する重量や回数によってトレーニング効果が大きく変化します。
そのため目的に合わせてウエイトや回数を設定するようにしましょう。
重要なのがRM(=Repetition Maximum)の確認です。
RMとは「反復可能最大重量」のことで、例えばフロントスクワットで50kgのバーベルを10回上げ下げするのが限界の場合、50kgが「10RM」になります。
このRMを目安にトレーニングの目的別で回数と重量を以下のように設定するようにします。
目的 | 回数(RM) |
---|---|
筋力向上 | 6〜8 |
筋肥大 | 10〜15回 |
筋持久力向上 | 15〜20回 |
例えば、スポーツパフォーマンス向上のために筋力向上を狙うなら“高重量×低回数”のトレーニング、筋肉を大きくさせるのが目的なら“中重量×中回数”のトレーニングが基本になります。
いずれも設定した回数で大腿四頭筋の限界が来るような重量設定にしましょう。
セット数は3〜5回が目安
フロントスクワットのセット数は基本は3回から5回です。
いきなり高重量を扱うのではなく、最初の1セットはフォームの確認やウォームアップに使うようにしましょう。
セット数を重ねると筋肉疲労が溜まり、設定した回数が挙げられなくなることがあります。その際には、回数を減らすのではなくバーベルの重量を軽くして、設定した回数をこなすようにしましょう。
また、フロントスクワットを通常スクワットやデッドリフトの後の補助種目として取り入れる場合には、セット数は2~3回程度に少なくしても問題ありません。
フロントスクワットの効果を高めるコツ3つ
フロントスクワットの効果を高めるための3つのコツについてもご紹介します。
難易度の高いトレーニングですが、正しいフォームを身につければ大腿四頭筋に効果的なメニューのため、ご紹介するポイントを参考にしてみてください。
コツ1. 肘を水平になるようにできるだけ上げる
初心者の方だと、バーベルを身体の前で担いだ状態をキープするのが大変かもしれません。
フロントスクワットでバーベルを担ぐ時には、胸を張る以外にも、肘の角度をチェックしましょう。肘をできるだけ水平に近いところまで上げると、バーベルをしっかりとキープしやすくなります。
また顎は少し上を向いて、ベンチプレスの時のように肩を寄せた状態にしてあげると、バーが安定しやすくなります。トレーニング中は常にこの状態をキープして動作するようにしましょう。
コツ2. バーの軌道は常に足の真ん中を垂直に通す
バックスクワットなど、バーベルスクワット種目の基本とも言えるポイントですが、バーの位置が常に足の真ん中に来るようにします。
フロントスクワットでの理想は、動作中に足の真ん中の位置をシャフトが上下するような軌道になることです。
重心を意識してあげると、関節への負荷を減らして怪我を防げるだけでなく、自然と正しい姿勢をキープするために働く体幹も効果的に鍛えられます。
ジムなどで撮影が禁止されていなければ、自分のフォームをスマホで撮影して確認してみましょう。
コツ3. 腰を丸めないことで体幹にも刺激を入れる
フロントスクワットは下半身トレーニングのイメージが強いですが、腰を丸めないように気をつけることで体幹部の筋肉も効果的に鍛えられます。
バーベルの重心が足の真ん中を通るようにすると、重量は重力で真下に向かうため、身体を折り曲げようとする“せん断荷重”という力が働きます。
この時に腰を丸めずに胸を張った状態をキープするように意識すると、脊柱起立筋や広背筋といった体幹部の筋肉への効果を高めることができます。
また、腰を丸めないフォームの習得は、負荷が腰など一点に集中して怪我するのを防ぐ効果もあります。
フロントスクワットの種類・バリエーション
フロントスクワットには、いくつかのバリエーションがあります。
特にフロントスクワットで手首の柔軟性が足りずに手がシャフトに届かない方は、他のバリエーションを取り入れることでフロントスクワットに近いトレーニング効果が期待できます。
また、自宅トレーニングでも取り入れやすい、バーベルがなくても実施できるバリエーションもあります。
トレーニングレベルや筋トレ環境に合わせてフロントスクワットのバリエーションを取り入れて、効果的にトレーニングしましょう。
ケトルベル・フロントスクワット
どうしても手首や肩の柔軟性が不足していてバーベルを担げない場合には、2つのケトルベルを使ったケトルベル・フロントスクワットが効果的です。
ケトルベルは取っ手の付いた球体の形状をした金属製のトレーニング器具です。
ダンベルやバーベルほど知名度は高くありませんが、筋トレだけでなくカーディオ(有酸素運動)にも活用できるなど、自宅トレーニングとも相性の良いのが特徴です。
How To
- 足を肩幅程度に開き、足先は少し外側に向けて開く
- 取っ手を持ち、球体部分を上腕と前腕の隙間に乗せる
- 膝をつま先方向に合わせながらゆっくりしゃがむ
- 地面を蹴るようにかかとに力を入れて立ち上がる
バーベル・フロントスクワット
高重量を扱えるフロントスクワットの代表格がバーベル・フロントスクワットです。大腿四頭筋を鍛える主要なトレーニング種目の一つです。
バランスを崩してバーベルを落とすこともあるため、安全のためにセーフティーバーのあるパワーラックを使用しましょう。
How To
- 足先を外側に向け、肩幅の広さに開く
- バーベルをラックアップして身体の前で担ぐ
- 上腿が床と平行になる位置までゆっくりしゃがむ
- 大腿四頭筋へ負荷をかけながら立ち上がる
カリフォルニア・フロントスクワット
手首の柔軟性や前腕の長さが足りずにフロントスクワットができない場合には、カリフォルニア・フロントスクワットも選択肢の一つです。
カリフォルニアフロントスクワットは、前腕をクロスさせてバーベルを担ぐのが特徴です。
左右のバランスを保つのが難しくなるため、トレーニングする際には高重量は避けましょう。
How To
- 肩より少し低い位置のラックへバーベルをセットする
- 前腕をクロスさせてバーベルを肩と手で支え担ぐ
- 足が床と平行になるまでバランスを保ちながらしゃがむ
- 大腿四頭筋へ負荷をかけながら立ち上がる
【Q&A】フロントスクワットについて多い質問
フロントスクワットについて初心者の方がよく抱える疑問についてもお答えしたいと思います。
自宅トレーニングで負荷が足りない時に役立つワンポイントアドバイスもあるので、筋トレを充実させるために参考にしましょう。
Q. フロントスクワットで鎖骨が痛い場合にはどうしたら良い?
最初は鎖骨が痛くなりやすいですが、正しいフォームを身につけるにつれて痛みはほとんど無くなる場合が多いです。
どうしても我慢できないほどの痛みの場合には、バーベルのシャフトに取り付ける「スクワットパッド」というクッションのようなアイテムがあります。使用することで鎖骨に直接バーベルが当たらなくなるため痛みを軽減できます。
ジムによってはバーベルのところに置いてあって自由に使用できます。
Q. 自宅で高重量のバーベルが無い場合にはどうしたら良い?
自宅でフロントスクワット1RMの重量のバーベルを用意できる方は少数派です。
重量が足りない場合には、「スロートレーニング」を取り入れてみましょう。スクワット動作を5秒ほどかけてゆっくりと行うだけで、負荷を高められます。
50%1RMの負荷でもスロートレーニングにするだけで80%1RMの負荷でトレーニングするのと同等の効果が得られると言われています。
Q. 大腿四頭筋を鍛えるのにフロントスクワット以外にどんな種目がある?
ジムであればマシンレッグプレスやレッグエクステンションで集中的に高負荷をかけながら大腿四頭筋を鍛えられます。
自宅だと自重を使った種目がメインになりますが、椅子に座り足でダンベルを挟んで実施するダンベルレッグエクステンションや、横になって実施するチューブレッグプレスでも大腿四頭筋全体を効果的に鍛えられます。
フロントスクワットで大腿四頭筋を効果的に鍛えよう!
フロントスクワットで大腿四頭筋を効果的に鍛えるための正しいフォームやコツについてご紹介しました。
大腿四頭筋は筋肉の中でも最も大きい部位であり、基礎代謝の向上に効果的です。また、大腿四頭筋は鍛えることでゴツゴツとした迫力のある足を作ったり下半身を引き締めたりすることができます。
フロントスクワットはフォームの難易度が高いため注意が必要ですが、初心者の方でも取り組みやすいようにトレーニング方法をご紹介したので、筋トレを充実させるのに参考にしてみてください。