ダンベルフレンチプレスはTシャツが似合う、逞しい腕を鍛えるのに有効な種目です。
腕を太くするときに力こぶばかり鍛える人は多いですが、ダンベルフレンチプレスで鍛えられる上腕三頭筋は、実は腕の筋肉の約70%を占めます。
また上腕三頭筋は、ベンチプレスや腕立て伏せでも鍛えられますが、今回紹介するダンベルフレンチプレスは、上腕三頭筋の中でもベンチプレスや腕立て伏せで鍛えられない部分も鍛えられます。
そのため、ダンベルフレンチプレスは、腕を太くしたい人におすすめの種目です。
ダンベルフレンチプレスとは
ダンベルフレンチプレスとは、ダンベルを頭の上に持ち、肘を曲げ伸ばしすることで二の腕を鍛えるトレーニング。
ダンベル1つあればできるため、自宅でも取り組みやすい種目です。
男性なら太くて逞しい腕を作るのに効果的。女性なら引き締まった二の腕を作るのに効果的です。
また、ダンベルフレンチプレスには立って行うほか、座って行う場合や仰向けで行う場合などいくつかバリエーションがあるので、本記事ではそれも含めて解説します。
ダンベルフレンチプレスが効果的な筋肉部位
ダンベルフレンチプレスは上腕三頭筋に効果的な種目です。
上腕三頭筋は以下の3つの部位から構成されています。
- 長頭
- 外側頭
- 内側頭
これらのすべての部位は肘関節の伸展(肘を伸ばす動作)で働きます。また長頭だけは肩関節の伸展(腕を後ろに伸ばす動作)にも関与しています。
フレンチプレスでは以上の3つの部位すべてに効果的ですが、肩を上にあげて動作するため長頭が強くストレッチされる種目です。
よってダンベルフレンチプレスでは、ベンチプレスや腕立て伏せでは鍛えにくい長頭をメインに鍛えられます。
ダンベルフレンチプレスで使う筋トレマシン・器具
ダンベルフレンチプレスで使用する器具はダンベルだけです。
ダンベルフレンチプレスは基本的にダンベルが1つあればできる種目なので、筋トレ初心者や、家でトレーニングしている人でも取り組みやすいです。
また、フラットベンチや角度を変えられるベンチを用いることで、異なるバリエーションのダンベルフレンチプレスも行えます。
ダンベルフレンチプレスのいくつかのバリエーションは、記事の後半で紹介します。
ダンベルフレンチプレスの平均重量(男女別)
ダンベルフレンチプレスは基本的に両手で行う種目ですが、残念ながらいまのところ両手で行うダンベルフレンチプレスの平均重量に関するデータはありません。
そこで、海外のフィットネスサイトであるSTRENGTH LEVELをもとにして、片手で行うダンベルフレンチプレスの平均値を男女別に紹介します。
ちなみに、ご紹介する数値は74,000のリフトを基にしたものです。実際の平均重量は体重や年齢によっても異なりますが、今回は日本人の平均体重(男性:65㎏、女性:55㎏)を参考にしています。
まずトレーニング歴2年未満の男性の平均値は4~11㎏、2年以上トレーニングを行っている男性の平均値は20~33㎏です。
続いて、トレーニング歴2年未満の女性の平均値は3~6㎏、トレーニング歴2年以上であれば12~18㎏が平均です。
両手で行うダンベルフレンチプレスの場合、平均重量紹介した数値の2倍程度になるのではないでしょうか。
ダンベルフレンチプレスを行う際はぜひ参考にしてみてください。
ダンベルフレンチプレスの正しいフォームとやり方
1. 適切な重量のダンベルを1つ用意する
まず、自分に合った重量のダンベルを1つ用意します。適切な重量でトレーニングを行うことは、ケガの予防や対象筋のみを集中的に鍛えることに効果的です。
適切な重量かどうかを見分けるポイントは2つ。
- 正しいフォームで目的の回数を行えるか
- 十分な可動域で動作を行えるか
ダンベルの重量を選ぶ際には、以上の2つをチェックするのがポイントです。
2.ダンベルを両手で持ち後頭部に持ってきて肘を曲げる
続いてスタートポジションをつくります。ダンベルを両手で持ち、背筋を伸ばして立ちます。ダンベルは、ダンベルの円盤部分に両手を重ねるように持つのがポイントです。脚幅は肩幅程度でバランスを崩さないようにします。
次に、両手で持ったダンベルを頭の後ろに持ってきて、肘を曲げます。肘を曲げたときに、上腕三頭筋をしっかりとストレッチさせるのがポイントです。
3.息を吐きながら肘を伸ばしてダンベルを垂直に持ち上げる
ダンベルを持ち上げるときは、息を吐きながら、肘を伸ばしてダンベルの軌道が垂直になるようにします。ダンベルは肘が伸びきるまで持ち上げます。
また、ダンベルを持ち上げるときに、脚の反動を使って持ち上げる人がいますが、これでは上腕三頭筋から負荷が抜けてしまうので、膝も伸ばし切った状態で動作するのがポイントです。
4. 息を吸いながら肘を曲げてダンベルを垂直に下ろす
肘を伸ばしてダンベルを持ち上げたら、息を吸いながら肘を曲げてダンベルを下ろします。ポイントは、下ろすときもなるべくダンベルの軌道が垂直になるようにするということです。
上腕三頭筋のストレッチを意識してゆっくりと下ろします。
またダンベルを下ろす際に、ダンベルが頭にぶつかってしまうと危険なので、ダンベルを下ろすときは地面を見るように少し首を曲げると安全です。
ダンベルフレンチプレスの重量や回数、セット数の目安
トレーニングで筋肉を効率よく鍛えるには正しいフォーム以外にも、回数やセット数が重要になります。そこでダンベルフレンチプレスの重量や回数、セット数の目安をご紹介。
今回紹介する重量設定や回数の考え方は、他の種目にも応用できる基本となります。筋肉を効率よく発達させたい人は覚えておくと役立ちます。
目的に合わせて重量や回数を設定する
トレーニングの重量や回数を設定するうえで大切なのは、まずRM(=Repetition Maximum(反復可能最大重量))を知ることです。
RMとはある重量に対して、ギリギリ反復して上げられる回数のことです。例えば、10回ギリギリ上げられるのであれば10RMとなります。
そしてトレーニングには筋力向上目的、筋肥大目的など、それぞれ目的があると思いますが、目的ごとのRMは以下の表の通りです。
ダンベルフレンチプレスでも以下の表を参考にしてみてください。
目的 | 回数(RM) |
---|---|
筋力向上 | 3~7RM |
筋肥大 | 8~12RM |
筋持久力向上 | 13~20RM |
ただし、ダンベルフレンチプレスは肘関節の負担が大きいため、高重量でのトレーニングはケガのリスクも高いです。
そのため筋力向上目的の場合は、オーバーヘッドエクステンションやケーブルプッシュダウンのような肘への負担が比較的少ない種目で、上腕三頭筋を鍛えることをおすすめします。
セット数は3〜5回が目安
ダンベルフレンチプレスのセット数の目安は3~5セットです。
スポーツ科学者のDr.Mike氏の記事(※)によると、上腕三頭筋の1週間のトレーニング頻度は2~4回で、週に10~14セットが筋肉への反応が良いことが示されています。
これを踏まえたうえで、上腕三頭筋の種目を1~3種目程度行うとすると、1種目につき3~5セットが効率的と言えるのではないでしょうか。ですから、フレンチプレスは1度に3~5回が目安です。
ダンベルフレンチプレスの効果を高めるコツ3つ
以下では、ダンベルフレンチプレスのトレーニング効果を高めるコツを紹介します。
コツ1. ダンベルを上げるときは肘を伸ばし切る
まず、上腕三頭筋を鍛えるうえで欠かせないポイントは、ダンベルを上げるときに肘をしっかりと伸ばし切ることです。
上腕三頭筋は肘関節を伸ばす動作に関与するため、最大限に刺激するには肘を完全に伸ばし切るのが効果的です。
実際、スポーツ科学者Dr. Mike氏も上腕三頭筋の種目では肘のロックが重要ということを述べています(※)。
しかし、フレンチプレスをしている人の中には、肘を最後まで伸ばし切らない人も多いのです。
これでは上腕三頭筋を効率よく刺激できないので、ダンベルを上げるときは肘を伸ばし切ることを意識する必要があります。
コツ2. ダンベルの軌道が垂直になるようにする
ダンベルフレンチプレスの効果を高める2つ目のコツは、ダンベルの軌道が垂直になるように動作することです。
まずダンベルの軌道が垂直でない動作では、プルオーバーのような動きになりやすく、広背筋も作用してしまうため上腕三頭筋への負荷が減ります。
またダンベルの軌道が大きくブレることは、バランスを崩す原因や頭にダンベルをぶつけてしまう原因にもなりかねません。
上腕三頭筋に負荷を集中させるためだけでなく、ケガをしないためにも、ダンベルの軌道はなるべく垂直になるようにすると効果的です。
コツ3. 筋肉のストレッチを意識してダンベルを下ろす
ダンベルフレンチプレスは、腕を上げた状態で行うため、上腕三頭筋をストレッチさせたときに強い負荷をかけられる種目です。
せっかくストレッチさせたときに負荷をかけられる種目なのに、上腕三頭筋がストレッチされる前に動作を切り返してしまうと、ダンベルフレンチプレスの効果を十分に発揮できません。
ダンベルフレンチプレスの効果を最大限に引き出すためにも、関節に無理のない範囲で上腕三頭筋のストレッチを意識してダンベルを下ろすのがポイントです。
ダンベルフレンチプレスの種類・バリエーション
ダンベルフレンチプレスにはいくつかのバリエーションがあります。それぞれの種目で鍛えられる部位は同じですが、負荷のかかり方や刺激が異なります。
上腕三頭筋をより効率的に鍛えたいという方は他のバリエーションも取り入れると効果的です。
シーテッド・ダンベルフレンチプレス
シーテッド・ダンベルフレンチプレスは、椅子に座った状態で行うダンベルフレンチプレスです。
座った状態では下半身の筋肉が使えないので、その分上腕三頭筋に負荷を集中させられるというメリットがあります。
また角度を変えられるベンチを使うことで肩の伸展動作も加わるため、立った状態とは少し
違った刺激を与えられます。
How To
- ベンチを用意し背筋をまっすぐ伸ばして座る。
- 両手にダンベルを持ち、後頭部で肘を曲げる。
- 息を吐きながら肘を伸ばしてダンベルを垂直に持ち上げる。
- 息を吸いながら肘を曲げてダンベルを垂直に下ろす。
ライイング・ダンベルフレンチプレス
ライイング・ダンベルフレンチプレスは、フラットベンチに仰向けになった状態で行うダンベルフレンチプレスです。
通常のダンベルフレンチプレスに肩の伸展動作が加わるため、上腕三頭筋の長頭に強い負荷を与えられるのが特徴です。
ただし、直立状態で行うダンベルフレンチプレスに比べて、上腕三頭筋のストレッチは弱くなります。
How To
- 両手にダンベルを持ち、ベンチに仰向けになる。
- ダンベルを頭の上に持ってきて肘を曲げる。
- 肩を身体の方に下ろしながらダンベルを上げる。
- 肩を頭の方に上げながら、ダンベルを下ろす。
【Q&A】ダンベルフレンチプレスについて多い質問
最後にダンベルフレンチプレスについて多い悩みや疑問を3つ紹介します。
Q.肘は閉じたほうがいいの?開いたほうがいいの?
肘を大きく開いた状態で行うダンベルフレンチプレスは、上腕三頭筋の中でも外側頭への負荷を増やします。
しかし、これは上腕三頭筋の長頭や短頭で受けるはずだった刺激を外側頭が代わりに受けているということです。
そのため、上腕三頭筋の外側頭をメインで鍛えたい場合は肘を開いた状態で行い、全体をバランスよく鍛えたいなら肘を少し閉じた状態で行うことをおすすめします。
また、肘の位置によっては肘に痛みを感じる場合もあると思います。その場合は、自分に合ったポジションを見つけてダンベルフレンチプレスを行ってみてください。
Q.ダンベルフレンチプレスを片腕ずつやるときのやり方は?
ダンベルフレンチプレスを片腕ずつ行うときのやり方は、両手で行うときと基本的には変わりません。
両手で行うにしろ片腕で行うにしろ大事なことは、ダンベルの軌道が垂直になるようにすることと、できるだけ可動域を広くとることです。
また片腕ずつやるときは、逆側の手で肘がブレないように固定することで、上腕三頭筋にしっかりと刺激を与えらます。
Q.ダンベルフレンチプレスが上腕三頭筋に効かない原因は?
ダンベルフレンチプレスが上腕三頭筋に効かない原因は、以下の2つが考えられます。
- 可動域が狭い
- 反動を使ってダンベルを上げている
ダンベルフレンチプレスを上腕三頭筋に効かせるためには、上腕三頭筋をしっかりとストレッチさせ、肘を完全に伸ばし切ることが重要です。
そのため上腕三頭筋に効かない人は、まずは十分な可動域をとれているか確認してみましょう。
また、立って行うダンベルフレンチプレスでは膝などで反動を使えるので、どうしても反動を使ってしまう人はシーテッド・ダンベルフレンチプレスをおすすめします。
ダンベルフレンチプレスで上腕三頭筋を効果的に鍛えよう!
本記事では、上腕三頭筋を鍛える種目であるダンベルフレンチプレスを紹介しました。上腕三頭筋は思っている以上に大きな筋肉なので、しっかりと鍛えれば腕に大きな変化が見込めます。
- 太くて分厚い腕に鍛え上げたい
- どこから見ても立体的な腕が欲しい
- 引き締まった腕を手に入れてTシャツを着こなしたい
- 二の腕を引き締めてぷよぷよな腕とおさらばしたい
このような人はぜひダンベルフレンチプレスをトレーニングに取り入れて、理想の腕を手に入れてください。