チェストプレスは胸板を厚くし、上半身を男らしく鍛えあげることができます。
しかし、ジムに置いてあるチェストプレスマシンを目の前に、「どうやって使うんだろう」「マシンを使っても胸に負荷がかからない」という悩みを抱える方も少なくありません。
今回の記事では、そんなチェストプレスの正しいフォームやコツを分かりやすく解説します。ダンベルを使ったチェストプレスも解説しているので、自宅にいながらでも取り組むことが可能です。
効果的に大胸筋を鍛えて、たくましい上半身を手に入れましょう。
チェストプレスとは
チェストプレスとは、大胸筋を使ってウェイトを持った両腕を前に押し出すトレーニングです。
トレーニング方法もさまざまで、ダンベルを使用したダンベルチェストプレスや、ジムに置いてあるマシンを使用したマシンチェストプレスなどがあります。
大胸筋が集中的に鍛えられるので、上半身をたくましくしたい方にぴったりのトレーニングといえるでしょう。
チェストプレスが効果的な筋肉部位
チェストプレスでは大胸筋をメインに鍛えられます。大胸筋は上部・中部・下部に分かれていますが、フォームを変えることで全ての部位を鍛えられるのがチェストプレスです。
一般的なチェストプレスでは、両腕を横に開いた状態でウェイトを押し上げます。このときにメインとして使用される筋肉は大胸筋中部です。大胸筋の中部を鍛えることで、胸に厚みを作れます。
また、ウェイトを押し上げる動作のときに上腕三頭筋も副次的に使用されます。しかし、チェストプレスのメインは大胸筋です。上腕三頭筋はあくまでも補助として使用するように意識しましょう。
チェストプレスで使う筋トレマシン・器具
チェストプレスにはマシンを使用したトレーニングと、ダンベルを使用したトレーニングがあります。
チェストプレスマシンは一般的に多くのジムに設置されており、低~高重量まで細かなウェイト調節が可能です。
マシンは、トレーニング動作の軌道が決まっているので、初心者でもピンポイントで大胸筋を鍛えることができます。
一方で、ダンベルチェストプレスはインクラインベンチとダンベルを用いたトレーニング方法です。マシンに比べて器具を簡単に準備できるため、自宅でも気軽にトレーニングできます。
しかし、ダンベルを片手で扱うため、慣れないうちは動作が安定しないことも。大胸筋にピンポイントで負荷をかけるには、マシン以上の慣れが必要となります。
チェストプレスの平均重量(男女別)
チェストプレスで扱うウェイトの平均重量は、いったいどれくらいなのでしょうか?まず、日本の男女それぞれの平均体重を目安に確認していきます。
性別(体重) | 初心者 | 中級者 | 上級者 |
---|---|---|---|
男性60㎏ | 25kg | 71kg | 105kg |
女性50kg | 7kg | 33kg | 53kg |
トレーニングを継続させるほど筋肉量は増加しますが、急にウェイトを重たくすることは危険です。正しいフォームを継続できる重さが最適といえるでしょう。
この表を元にウェイトを調節して、自分に合った重量を見つけましょう。必ずしも平均重量を扱わなければならないということはありません。自分の力に合った重量を見つけることが大切です。
チェストプレス重量をベンチプレス重量に換算できる?
チェストプレスマシンを使用してトレーニングしていると、ベンチプレスでは何㎏上げられるのか気になる方もいるでしょう。
例えば、チェストプレスで70㎏を10レップできるなら、ベンチプレスのmax重量はどの程度になるのでしょうか。
実は、チェストプレスで扱う重量をベンチプレスで扱える重量に換算することは困難です。
マシンにもさまざまな種類やメーカーがあり、それぞれ違った角度や可動域を持っています。
モノによっては負荷がかかるピークが「押しはじめ」「押し切ったとき」「押す過程で均一」のように調整可能なマシンも存在しています。
そのため一口に「チェストプレスで○○㎏=ベンチプレス○○㎏」とは言えないのです。どうしても気になるのであれば、実際にベンチプレスを行ってみると良いでしょう。
チェストプレスとはまた違った刺激を経験することができます。
チェストプレスの正しいフォームとやり方
1. マシンのシートを足裏全面が地面につく高さに調節する
まずはチェストプレスマシンのシートを調節しましょう。シートに深く座った時に足裏がぴったり地面につく高さが最適です。足がフラフラすると身体が安定せず、鍛えたい部位以外に余計な力が入ってしまいます。
ジムに置いてあるマシンは多くの人が使用しています。まずは、自分の身体に最適な位置を知り、しっかりセッティングすることが大切です
2. シートに深く座り、肘が90度程度になる高さでバーを握る
シートを調節したら、深くまでしっかりと座りましょう。すると、胸の前あたりにバーのグリップがくるので、両肘の角度が90度程度になるように握ります。このとき、左右で握る位置が異なってはいけません。
グリップを握る高さや位置が違うと、左右の大胸筋を均等に鍛えられなくなります。そのままトレーニングをすると、大胸筋の形が左右で変わるので注意しましょう。
3. 肩を下に落とし、肩甲骨を寄せた状態でバーを前に押しだす
スタートポジションが完成したら、いよいよバーを前面に押し出していきます。
まずは肩甲骨を寄せ、肩を下ろしましょう。すると自然と胸が張った姿勢になります。その状態をキープしたまま、大胸筋を前に押し出すイメージを持って動作しましょう。
また、両手はバーを支えるだけです。腕の力をなるべく使わないようにバーを押し出すと、さらに効率的に鍛えられます
4. 押し出したバーをスタートポジションまでゆっくり戻す
前面にバーを押し出したら、ゆっくりとスタートポジションに戻します。バーが元に戻ろうとする作用に逆らうように、大胸筋の張りを感じながら戻していくことが大切です。
勢いよくバーを戻してしまうと、トレーニング効果が下がったり、バーが戻る衝撃でケガをしたりする危険性があります。扱うウェイトの重量が重すぎる場合は、ゆっくりバーを戻せる重量に調節しましょう。
チェストプレスの重量や回数、セット数の目安
チェストプレスの重量や回数設定は、目指す身体に応じて設定しましょう。トレーニングでは、目的によって回数や重量を変化させることが大切です。
目指しているボディに1日でも早く近づけるように、最適なトレーニングセットを組みましょう。
目的に合わせて重量や回数を設定する
「筋力アップ、筋肥大、筋持久力の向上」など、目指すボディによってウェイトの重量や回数は変化します。その目安となるのが、RM(反復可能最大重量)という数値です。
RMは設定した重量で反復できる限界の回数を表します。例えば「10RM」なら「10回の反復動作が限界の重量」、「20RM」なら「20回の反復動作が限界の重量」ということになります。
それでは、トレーニングの目的別にRMの設定数を見ていきましょう。
目的 | 回数(RM) |
---|---|
筋力向上 | 3~7RM |
筋肥大 | 8~12RM |
筋持久力向上 | 13~20RM |
トレーニングを続けると、最初に設定したRM以上の回数をこなせるようになります。その場合はウェイトの重量を上げるなど負荷を加えて、目的に沿ったRMでトレーニングしましょう。
セット数は3〜4回が目安
目的に沿ったRMを設定できたら、次はセット数を確認しましょう。チェストプレスは高重量で大胸筋に負荷をかけられます。しかし、1セットだけで筋肉を追い込むことには限界があるでしょう。
基本的にセット数の目安は3~4セットを組むのがおすすめです。セット間にはインターバルをとるなど、筋肉を休息させることも意識してみましょう。トレーニングパフォーマンスを最大限に発揮しやすくなります。
また、メインセットに入る前に、軽いウェイトを使ったり、身体を動かしたりするなどのウォーミングアップをしておきましょう。身体の筋肉が温まり、ケガの予防にもなります。
チェストプレスの効果を高めるコツ3つ
ここまでチェストプレスの基本的なやり方や、セットの組み方について解説しました。それでは、さらに大胸筋に負荷をかけるにはどうすれば良いのでしょうか。
ここからは、チェストプレスのトレーニング効果を上げる3つのコツを紹介していきます。
最初からすべてを意識しようとすると、フォームが乱れる原因となります。ひとつひとつをクリアしながら、段階的に意識できるようになりましょう。
コツ1. 脇を開きすぎず、手の位置が内側に入らないようにする
脇が開きすぎたり、バーを握る位置が胸の前よりも内側に入ったりすると、うまく大胸筋に負荷をかけられなくなります。
まず、脇を開きすぎることによって負荷がかかるのは、三頭筋や三角筋です。バーの位置が高い可能性があるので、胸の前あたりにバーが来るようにシートを調節しましょう。
腕の位置が胸の前よりも内側に入ってしまうと、主に三頭筋に負荷がかかってしまいます。バーを握るのは、90度に曲げた肘の直線上が理想的です。
コツ2. バーを押したり戻したりするときに肩をすくめない
肩をすくめた状態で動作を行うと、大胸筋よりも三角筋に負荷がかかりやすくなります。肩をすくめると胸が閉じてしまい、大胸筋をうまく使用できなくなるためです。
三角筋とは肩の筋肉のことで、逆三角形ボディを作るには欠かせません。しかし、チェストプレスは大胸筋を発達させるためのトレーニングなので、三角筋はなるべく使わないように意識しましょう。
そのために、肩を下ろした状態をキープして動作することをおすすめします。
コツ3. トレーニング中は息を止めないように意識する
チェストプレスの正しい呼吸法は、息を吐きながらバーを前面に押し出し、息を吸いながらバーを戻します。
「正しい呼吸法」は、回数や重量と同じくらいトレーニングに大切な要素です。力が入ると息を止めてしまいがちですが、それでは血圧が上がり心臓に負担がかかります。
最も負荷がかかるタイミングで息を吐き、負荷が軽くなるタイミングで息を吸いましょう。「負荷がかかる=筋肉が収縮するとき」です。
息を吐くと肺が縮み、力が入りにくくなります。そのタイミングで筋肉を収縮させることで、筋肉により強い刺激を与えることができます。
正しい呼吸法を意識するだけで、普通にトレーニングするよりも筋肉の付くスピードを加速させることが可能です。トレーニングの質も向上するので、ぜひ意識してみましょう。
チェストプレスの種類・バリエーション
チェストプレスにはさまざまな種類があります。マシンの使い方や、腕の角度を変えることで大胸筋への負荷のかかり方を変えることも可能です。
ここからはチェストプレスの種類ごとに、負荷のかかる部位や正しいフォームを解説していきます。
ダンベル・チェストプレス
ベンチに仰向けになり、両手に持ったダンベルを押し上げるトレーニングです。マシンと同様に大胸筋をメインに鍛えられます。
片手でウェイトを扱うため高重量は扱いづらいですが、動作の可動域が広がることが特徴です。その分、大胸筋を最大限に伸ばせるので、軽量でも効果的に鍛えられます。
How To
- 両手にダンベルを持ち、ベンチに仰向けに寝転がる
- 肩甲骨を寄せた状態で、ダンベルを胸の横にセットする
- 胸を張った状態をキープし、ダンベルを真上に押し上げる
- 胸の負荷を感じながら、真上に上げたダンベルをゆっくり下ろす
インクライン・チェストプレス
インクライン・チェストプレスは大胸筋の上部を集中的に鍛えられます。自重やダンベルチェストプレスなどでは鍛えることが難しい部位です。
大胸筋の上部を鍛えることで、前に張り出した大胸筋を手に入れることができます。
How To
- シートの高さを足裏が地面にしっかり付くようにセットする
- 深く座り、グリップの位置が鎖骨の少し下になるようにセットする
- バーを握り、大胸筋を使って斜め上に押し上げる
- バーを押し上げたら、ゆっくりとスタートポジションに戻す
デクライン・チェストプレス
デクライン・チェストプレスでは、大胸筋の下部を集中的に鍛えることが可能です。大胸筋の下部はウェイトを下に押し上げることで鍛えられます。
そのため、チェストプレスマシンを用いるときは身体を少し浮かせた状態で、バーを下に押し下げるイメージでトレーニングを行います。
How To
- シートの高さを足裏が地面にしっかり付くようにセットする
- セットしたシートに深く座り、少しお尻を浮かし背筋を伸ばす
- バーを握り、大胸筋を使って斜め下に押し下げる
- バーを押し下げたら、ゆっくりとスタートポジションに戻す
【Q&A】チェストプレスについて多い質問
チェストプレスは初心者でも取り組みやすいトレーニングです。しかし、「こんな時はどうすべきなの?」と疑問を持つ方も少なくありません。
ちょっとした疑問でも、そのまま放っておけばトレーニング効果の減少や、ケガにつながる恐れもあります。
そこで、ここからは初心者が共通して感じやすい疑問をまとめ、解決策を解説しました。それでは、さっそく見ていきましょう。
Q. 大胸筋よりも先に腕が疲れてしまうのはなぜ?
胸よりも腕が疲れてしまうのは、腕を中心にバーを扱い、負荷がかかりやすくなっているためです。しっかり胸を張るように意識すると、大胸筋に負荷をかけやすくなります。
肩甲骨を寄せて、下げるように意識すると、自然と胸を開くことが可能です。シートの背もたれにしっかりと肩甲骨をつけたまま、胸を張ってトレーニングしてみましょう。
Q. 腕立て伏せとチェストプレスはどっちが胸に効く?
チェストプレスの方が胸に高負荷をかけることができます。チェストプレスはマシンを用いてウェイトを調節できるため、低負荷から高負荷まで、自分に合った重量を選択できます。
腕立て伏せのような自重トレーニングでも、背中に重りを乗せたり、足を高い位置に持ってきたりすると、負荷の追加が可能です。マシンや器具がない場合は、工夫してトレーニングをしてみましょう。
Q. チェストプレスは毎日行っても良いの?
同じ部位を続けてトレーニングすることは避けましょう。特に、大胸筋に筋肉痛がある場合は、筋肉を回復させることが優先です。
筋肉痛は筋肉が破壊されて回復する際に発生します。筋肉が回復しているときに、さらに負荷をかけてしまうと、筋肉成長の阻害に直結します。
特に、大胸筋のような大きな筋肉は回復に時間がかかるため、しっかり疲労を回復させてから取り組みましょう。
チェストプレスで大胸筋を効果的に鍛えよう!
大胸筋を集中的に鍛えられるチェストプレスは、初心者でも始めやすいトレーニングです。今回の記事で解説したように、単純なフォームの中にも意識すべきことは多くあります。
トレーニング効果を上げるコツなどを意識して、さらに効率良く大胸筋を鍛えましょう。トレーニングを継続させることで、誰もがうらやむ男らしい胸板を手に入れることができます。
無理のないウェイトでケガをしないように、効果的に大胸筋を鍛えましょう。