腹直筋を効果的に鍛える筋肉トレーニングとして人気の「ケーブルクランチ」は、効率良く腹筋に負荷をかけたいと考えている方にとって、最適なトレーニング方法の一つです。
あこがれのシックスパックを目指すトレーニーはもちろん、お腹を引っ込めたいと思っている方、くびれを作りたい方にもおすすめです。
ここではケーブルクランチの正しいフォームや、効果的なトレーニング方法、重量・回数の目安などについて、詳しくご紹介していきます。
ケーブルクランチとは
ケーブルクランチとは、ケーブルマシンにセットしたロープやケーブルを利用して、主に腹直筋の上部を鍛える目的で行うトレーニング種目です。
自重に頼るのではなく、ケーブルマシンに重量を設定した上でトレーニングを行うため、より効率的に腹筋に負荷を与えて鍛えることができます。
ケーブルクランチは、以下のような方におすすめです。
ケーブルクランチがおすすめの人
- 「腹筋の厚みを増したい」
- 「シックスパックを目指したい」
- 「キレイなくびれを実現したい」
ケーブルクランチが効果的な筋肉部位
ケーブルクランチが効果的なのは、主に「腹直筋」という筋肉の上部にあたる部位です。
腹直筋は体幹を前に曲げる際に使う筋肉で、身体の正面に位置しており、腹筋が割れて見えるためには、この腹直筋を鍛える必要があります。
さらに、その両脇にあって腹直筋を強調する作用のある、「外腹斜筋」や「内腹斜筋」を引き締めるのにも役立ちます。
腹斜筋は、体幹を左右にひねる際に使用する筋肉です。この外腹斜筋と内腹斜筋を鍛えると、よりシャープなお腹周りが実現できます。
ケーブルクランチで使う筋トレマシン・器具
- ケーブルマシン
- ロープアタッチメント
ジムなどでケーブルクランチを行う際は、プーリーケーブルマシンを使用します。これは滑車(プーリー)のついた筋力トレーニング用の器具で、滑車にセットされたケーブルを引くことで、負荷を得られるようになっています。
このケーブルにロープアタッチメントを取りつけて、ロープの左右を握って引っ張ったり戻したりしながら腹筋の収縮を繰り返すのが、ケーブルクランチにおける基本的な動作です。
ケーブルクランチの平均重量(男女別)
ケーブルクランチの設定重量は、それぞれの体重やトレーニングのレベル、さらには目的によっても変わってきます。
日本人成人男性の平均的な体重を68㎏とした場合(※1)、初心者は40kg、中級者は71㎏、上級者は110㎏程度(※2)を目安に設定するといいでしょう。
また女性の場合は、日本人成人女性の平均体重を52㎏として計算すると(※1)、初心者は19kg、中級者は41㎏、上級者は72㎏程度(※2)が目安です。
基本的には後述する「RM」を参考に、反復の限界が来る重量でトレーニングするようにします。
チューブを使ったケーブルクランチの自宅トレ方法
ジムに行く時間がない、あるいは自宅でもトレーニングをしたいという場合には、トレーニング用のロープチューブなどを利用したケーブルクランチも可能です。
高所にしっかりと固定されたバーや手すりなどにチューブをかけて、両手でチューブを握り膝立ちになります。チューブを両肩に背負うような体勢で、かけた所に背中を向けて行うのがポイントです。
そしてチューブを引っ張りながら、上体を前方に傾けます。この時、手の力だけで引っ張らないように注意しましょう。自分のおへそを覗き込むイメージで、身体を曲げるのが大切です。
体重をかけることになりますので、チューブを固定する場所を壊さないよう、強度を確認してからトレーニングするようにしましょう。
ケーブルクランチの正しいフォームとやり方
ここではケーブルクランチの正しいフォームとやり方について、順を追って説明していきます。
1. ケーブルマシンのロープを握って膝をつく
ケーブルマシンのプーリー(滑車)から伸びるケーブルの先に、ロープアタッチメントを取りつけたら、膝立ちになって左右に分かれたロープをそれぞれしっかりと握ります。身体の向きは、マシンの方を向いても背中を向けても自由です。
この時、ケーブルマシンから体幹部分が身体を倒すのに十分な程度離れていることと、ロープを取りつけた部分から真っすぐの位置に膝をつくことが大切です。
2. 前傾し、両耳の位置でロープを握る
膝立ちの状態で身体をやや前に倒し、ロープアタッチメントを握った両手を、両耳の横あたりに持って来ます。ここがスタートポジションになります。
ロープを握った手は常に耳の横の位置をキープし、脇はしっかりと締めておきましょう。また足は、膝立ちになっている太ももが、床から垂直の位置をキープするように注意します。
3. ロープをさらに下に引いて腹部を覗きこむ
次に手の位置が耳の横から離れないよう気をつけながら、ロープを引いて、体幹を前方に傾けていきます。この時、息をゆっくり吐きながら身体を倒すようにしましょう。
常に上半身を倒す力でロープを引くよう意識し、手の力だけで引っ張らないことが大切です。
背中を丸めるように身体を倒し、自分のおへそを覗き込む位置で息を完全に吐ききります。ここで息を吐ききることで、腹直筋がしっかりと収縮し、より腹筋が鍛えられます。
4. 背中からお尻が一直線になる所まで戻す
身体を限界まで丸めて、2~3秒動きを停止したら、今度はゆっくりと息を吸い込みながら、スタートポジションに戻していきます。この時、急がずにゆっくりと行うことが重要です。急いで身体を起こしたり、反動で元のポジションに戻ろうとしたりすると、腰を痛める恐れがあります。
ここで腹筋への負荷が感じにくい場合には、自重で身体を倒しているか、マシンとの距離が近過ぎる可能性がありますので、もう一度自分のフォームを見直してみましょう。
ケーブルクランチの重量や回数の目安
ケーブルクランチで効果的に腹筋を鍛えるには、自分の目的やレベルにきちんと合った重量や回数を設定することが重要です。
ここでは、ケーブルクランチで効率的にトレーニングするための目安となる重量や回数、セット数についてわかりやすく説明します。
目的に合わせて重量や回数を設定する
筋肉トレーニングの際に設定する重量は、目的によって変わってきます。この設定の際に重視しなければいけないのが「RM」と呼ばれるものです。
RMとは「Repetition Maximum」の略で「反復可能最大重量」を意味し、そのトレーニングで設定した重さに対して、反復可能な回数を示す数字です。
表にあるように、本格的な筋力向上とシックスパックを目指すなら6~8回、部分的ボリュームアップなど筋肥大が目的なら10~15回が目安になります。
ダイエット目的の女性の場合や、筋持久力の向上・ウエストの引き締めを目指すなら15~20回以上を目安に、適切なRMを設定するようにしましょう。
目的 | 回数(RM) |
---|---|
筋力向上 | 6〜8回 |
筋肥大 | 10〜15回 |
筋持久力向上 | 15〜20RM |
セット数は3〜5回が目安
ケーブルクランチのセット数は、3〜5回を目安に行います。
たとえば、1〜2セット目はアップを目的に軽重量・高回数で行い、3〜5セット目を本番セットとして高重量・低回数を扱うなどです。その日のトレーニングのテーマや目的に合わせたセット数を設定しましょう。
また、初心者の場合であれば正しいフォームが固まっていないため、無理に高重量を扱ってもターゲット部位へ適切に負荷をかけられないケースが多いです。
そのため、初心者の方がケーブルクランチを行う場合は、正しいフォームを意識しながら軽重量・高回数(15〜20回)を3〜4セット行えるとよいでしょう。
ケーブルクランチの効果を高めるコツ3つ
ケーブルクランチの筋トレ効果を高めるためには、いくつか守るべき重要なポイントがあります。このポイントを無視して自己流でトレーニングを続けても、期待するような効果は得られません。
ここでは3つのポイントをご紹介していきます。
コツ1. 肘をしっかりと下げた状態で行う
ケーブルクランチを行う際は、しっかりと肘を下げた状態で行うようにします。肘が上がってしまっていたり、脇が開いていたりする状態で行うと、手の力だけでロープを引くことになり、腹筋の収縮につながりません。
肘を下げないでケーブルクランチを続けていると、筋肉を傷めたり、ケガにつながったりするリスクもあります。
ロープを握った手は耳の横に置き、脇を締めて肘を下げたポジションをキープするよう、常に意識してトレーニングをしましょう。
コツ2. ケーブルを引くときに反動を使わない
ケーブルマシンを使ったトレーニングには、ケーブルを引くときも戻すときも、負荷がかかり続けるという特徴があります。
ここでケーブルを引っ張るときに反動を使ってしまうと、せっかくの負荷がかからず腹部への刺激につながらないため、腹筋の収縮が起こりにくくなります。
ケーブルクランチは自重を利用したトレーニングとは違い、ケーブルによる負荷を最大限活かして腹直筋を鍛える筋肉トレーニングですから、くれぐれも反動を使わないように注意して行いましょう。
コツ3. ケーブルを戻す時も体をゆっくりと起こす
せっかく腹直筋に十分な負荷をかけられたとしても、最後のポジションを元に戻す所で急いで身体を起こしてしまうと負荷が抜けてしまいます。
身体を戻す際は腹部への負荷を意識しながら、腹筋自体を伸ばすように起こしていきます。特に初心者の方は、急がずゆっくりと時間をかけて戻すようにするといいでしょう。
この時、ロープをつかんでいる手の力を抜くのではなく、丸まっている体幹が腹筋の力で徐々に元の位置に起きあがるイメージで行うことが大切です。
ケーブルクランチの種類・バリエーション
ケーブルクランチには、膝立ちになって行う一般的な方法以外にも、さまざまなバリエーションのトレーニング方法があります。
目的や負荷をかけたい位置によって、アプローチの仕方を変えることで、より効率的に腹筋を鍛えていきましょう。
スタンディング・ケーブルクランチ
スタンディングケーブルクランチは、立ったままの姿勢で行う方法です。メリットとしては、立って行うことでより深く体幹を曲げられるため、腹筋や背中の下部にも負荷を与えられる点が挙げられます。
身体を倒すときに腰からしっかりと曲げることが、腹筋へきちんと刺激を与えるコツです。
How To
- 足を肩幅に開き、マシンを背にして立つ
- ロープを耳元で順手に掴み軽く前傾する
- 上半身と床が平行になるまでしっかり屈む
- 平行になったら一度停止し元の姿勢に戻る
シーテッド・ケーブルクランチ
ベンチシートに座った状態で行うケーブルクランチが、シーテッドケーブルクランチです。通常よりも短い軌道で腹筋に負荷を与えられるので、より強い収縮感を得やすいという特徴があります。
また腹筋の上部へも刺激が及ぶため、広い範囲を鍛えたい場合におすすめです。
How To
- マシンに背を向けて座り、両手でロープを握る
- 耳の横にロープを引いて固定し前傾姿勢をとる
- お腹を覗き込むように背中を丸めながら倒れる
- 腹筋の収縮を感じて一度停止し、ゆっくり戻る
【Q&A】ケーブルクランチについて多い質問
ケーブルクランチは、効率的に腹直筋を鍛えたいというトレーニーにとって、効果的でメリットの多いトレーニング方法です。
ここではこのケーブルクランチについて聞かれることの多い質問に、わかりやすくお答えしていきます。
Q. ケーブルクランチが効かないときは?
ケーブルクランチを続けてみても効果が実感できないときは、一度自分のフォームを見直してみましょう。
きちんと肘を下げていなかったり、手の力だけでケーブルを引っ張ったりするやり方が、クセになってはいないでしょうか?
腹直筋に効果的な負荷がかからないと、いくらケーブルクランチを行っても、筋肉の収縮にはつながりません。しっかりと腹筋の収縮を感じられるような、正しいフォームを身につけましょう。
Q. ケーブルクランチは女性にもできる?
ケーブルクランチは、お腹にある腹直筋に作用する筋肉トレーニングです。「シックスパックを見せたい」というボディメイクのほか、「お腹をすっきりへこませたい」「はっきりしたくびれを作りたい」という女性にも向いています。
ダイエット目的で行う場合は、RM(反復回数)を20回以上に設定して、ハイレップトレーニングを実践すると良いでしょう。
Q. 自宅でチューブを使って行う方法は?
チューブを使ったケーブルクランチは、ゴムの伸びる力を利用して行うため、ケーブルマシンを使わなくてもある程度負荷の調整が可能です。自宅でも手軽に腹直筋を鍛えられます。
自宅で行う場合には、しっかりとした手すりなどにチューブを固定したうえで、両手で左右の先端を持ちます。マシンを使った場合と同様に、肘を下げ背中を丸めるイメージで息を吐きながら上体を曲げ、ゆっくりと息を吸いながら元に戻るよう意識して行いましょう。
ケーブルクランチで腹直筋と腹斜筋を効果的に鍛えよう!
ケーブルクランチは、腹部にある腹直筋と腹斜筋を効率的に鍛えられるトレーニング方法です。
あこがれのシックスパックを作り上げるには腹直筋を、スッキリしたくびれのあるボディを実現するには腹斜筋を、それぞれ意識しながら鍛えるのが効果的です。
- 腕ではなく腹筋の力で上体を曲げる
- 戻す際はゆっくりと行う
- 正しいフォームを意識する
上記のポイントを意識しながら、ケーブルクランチで理想の腹筋を手に入れましょう。