アブドミナルクランチは、ウェイトがセットされたマシンを用いて腹筋を鍛えるトレーニングです。高重量が扱えるので、自重の腹筋トレーニングよりも高負荷をかけられます。
「いつもの腹筋トレーニングに飽きた」「もっと腹筋に高負荷をかけたい」こんな方にぴったりのトレーニングです。
もちろん軽いウェイトもセットできるので、初心者でも気軽に取り組めます。
今回の記事では、そんなアブドミナルクランチの正しいフォームやコツを紹介しています。腹筋を効果的に鍛えて、理想的な腹筋を手に入れましょう。
アブドミナルクランチとは
アブドミナルクランチとは、マシンを使用して腹筋を鍛えるトレーニングです。アブドミナルクランチ用のマシンは基本的にジムに設置されています。
自分のレベルに合わせて重量を調節できるので、自重で行う腹筋よりも大きな負荷をかけられます。また、マシンを使うことで動作の軌道が固定され、腹筋に集中して負荷をかけることが可能です。
アブドミナルクランチが効果的な筋肉部位
アブドミナルクランチでは「腹直筋」をメインに鍛えられます。腹直筋はお腹の正面に位置しており、いわゆる「シックスパック」と呼ばれる筋肉のことです。
また、「腹斜筋」と呼ばれるお腹の側面の筋肉も副次的に使用されます。腹斜筋はお腹回りをギュッと引き締め、くびれを作るためには必須の部位です。
腹直筋や腹斜筋は、上体を起こしたり正しい姿勢を保ったりする役割を持っています。鍛えることで見た目がスマートになるだけでなく、日常的な動きもサポートしてくれるメリットがあります。
アブドミナルクランチで使う筋トレマシン・器具
アブドミナルクランチで腹筋を鍛えるには専用のマシンを使う必要があります。専用マシンはサイズが大きく、金額も100万円を超えるほど高価です。そのため、自宅にマシンを調達することは現実的とはいえません。
ジムに行けばマシンが設置されていますが、ジムに行けないという方もいるでしょう。しかし、アブドミナルクランチは「必ず取り組むべき」というトレーニングではありません。
確かに、自重の腹筋トレーニングとは違う刺激が得られますが、遠出してまでマシンを探さなくても大丈夫です。
腹筋トレーニングのマンネリ化を解消するために、ひとつのアクセントとして取り組むイメージを持つと良いでしょう。
アブドミナルクランチの平均重量(男女別)
アブドミナルクランチで扱うウェイトの「平均重量」は何㎏なのでしょうか。まずは、日本の男女それぞれの平均体重を元に、平均重量を見ていきましょう。
性別(体重) | 初心者 | 中級者 | 上級者 |
---|---|---|---|
男性60㎏ | 17kg | 68kg | 107kg |
女性50kg | 11kg | 33kg | 48kg |
このように、ウェイトの平均重量はトレーニング経験やその人の体重によっても変化します。
トレーニングを継続させるほど、技術が向上し筋肉量が増加していきます。しかし、極端に重量を増やすとフォームが乱れ、ケガに繋がる危険性もあります。
トレーニングにおいて最適な重さの目安は、正しいフォームを維持しながら最後まで行えるかどうかです。最初は無理のない重さから始めましょう。
アブドミナルクランチの正しいフォームとやり方
1. バーを握ったとき肘の角度が90度になるようにシートを調節する
アブドミナルクランチは、シートに座り両肩に位置するバーを使用します。バーを握った時に、肘の角度が90度程度になるようにシートの高さを調節しましょう。
アブドミナルクランチは腹筋を使って背中を丸め、腹直筋を収縮させるトレーニングです。
肘の角度を狭くすると、腹筋へかかる負荷が弱まります。これは、腕の力を補助的に使用しやすくなり、腹筋のみで動かすはずのウェイトに対し、腕の力も加わることが原因です。
肘の角度は90度を意識し、腹筋へかかる負荷を弱めないように注意しましょう。
2. シートの背もたれと背中・腰に隙間ができないように深く座る
シートの高さ調節ができたら、次はシートに深く座りましょう。腰・背中・肩甲骨がしっかりとシートに付き、隙間がない状態が理想といえます。
クランチは背中を丸めることで、腹筋に負荷をかけられるトレーニングです。背もたれから背中が離れると、背中を丸めるのではなく前に倒すようなフォームになるので、腹筋にかかる負荷が弱くなってしまいます。
3. おへそを中心に、腹筋を使うことを意識して背中を丸める
スタートポジションが完成したら、腹直筋を収縮させていきます。効率よく鍛えるためには、筋肉を最大限に収縮させることが大切です。おへそを中心にして、胸をみぞおちに近づけるようなイメージで背中を丸めましょう。
このとき、上半身の反動を使わないように注意する必要があります。上半身は固定したまま腹筋の力を使って背中を丸めていきましょう
4. 背中を丸めた状態から、ゆっくりスタートポジションに戻す
限界まで背中を丸めたら、ゆっくりとスタートポジションに戻しましょう。
アブドミナルクランチはウェイトの重量によって、力を弱めると勢いよく元に戻ります。しっかり腹筋に力を込めて、上半身をコントロールすることを意識しましょう。
また、スタートポジションに戻すときに背中を反らせないように注意が必要です。背中を背もたれにぴったり付けたまま、腹筋の力を使って戻していきましょう。
アブドミナルクランチの重量や回数の目安
トレーニング初心者の中には「ウェイトを何㎏に設定すればいいんだろう」という疑問を持つ方も少なくありません。ここからは、それぞれなりたい身体に沿った重量、回数の設定方法を解説していきます。
自分に最適な重量を設定することは、筋肉が育つ速度をアップさせることが可能です。自分が目指すシックスパックに1日でも早く近づけるように、目的にあったトレーニングセットを組みましょう。
目的に合わせて重量や回数を設定する
「筋力アップ、筋肥大、筋持久力の向上」など、目指すボディによってウエイトの重量や回数は変化します。その目安となるのが、RM(反復可能最大重量)という数値です。
RMは設定した重量で反復できる限界の回数を表します。例えば「10RM」なら「10回の反復動作が限界の重量」、「20RM」なら「20回の反復動作が限界の重量」ということになります。
それでは、トレーニングの目的別にRMの設定数を見ていきましょう。
目的 | 回数(RM) |
---|---|
筋力向上 | 3~7RM |
筋肥大 | 8~12RM |
筋持久力向上 | 13~20RM |
セット数は3〜5回が目安
目的に沿ったRMを設定できたら、次に意識すべきはセット数です。アブドミナルクランチはマシンを使用するため、慣れるまでにはある程度の時間が必要となります。
そのため、初心者が1セットだけで筋肉を追い込むことは難しいでしょう。基本的にセット数の目安は3~5セット組むことをおすすめします。
また、メインセットに入る前に、自重で腹筋を行うなどのウォーミングアップをしておきましょう。メインで使用する腹筋が温まり、ケガの予防にも繋がります
アブドミナルクランチの効果を高めるコツ3つ
アブドミナルクランチはマシンが必要なトレーニングです。ジムに通っていても教えてくれるジムトレーナーがいないと、うまく腹筋に負荷をかけるコツが分からない方もいるでしょう。
そんな方のために、ここからはアブドミナルクランチで効果的に腹筋を鍛えられるコツを3つ紹介していきます。
コツ1. バーを握ったときに肘が外側に開かないようにする
マシンのバーを握るときに、肘が外側に開かないように意識しましょう。肘が90°になるようにシートをセッティングしても、両肘が外側に向いてしまうと効率的に腹筋を鍛えられません。
これは、肘を外に向けると背中を丸めるときに腕の力を使いやすくなってしまうためです。
アブドミナルクランチは腹筋の力だけを使って背中を丸めることで、腹筋に強い負荷がかかります。腕の筋肉などをなるべく使用しないように、肘を外側に向けないフォームを意識しましょう。
コツ2. 正しい呼吸法を意識しながらトレーニングする
「正しい呼吸法」は、回数や重量と同じくらいトレーニングに大切な要素です。力が入ると息を止めてしまいがちですが、それでは血圧が上がり心臓に負担がかかります。
最も負荷がかかるタイミングで息を吐き、負荷が軽くなるタイミングで息を吸いましょう。「負荷がかかる=筋肉が収縮するとき」です。
息を吐くと肺が縮んで、力が入りにくくなります。そのタイミングで筋肉を収縮させることで、筋肉により強い刺激を与えることができます。
正しい呼吸法を意識するだけで、普通にトレーニングするよりも筋肉の付くスピードを加速させることが可能です。トレーニングの質も向上するので、ぜひ意識してみましょう。
アブドミナルクランチの場合、腹筋を使って背中を丸めるときに息を吐き、上半身を戻すときに息を吸いましょう。
特にトレーニング後半は息を止めがちです。重量を軽くするなど工夫して、呼吸を止めないように意識してみましょう。
コツ3. 両足には力を入れず、腹筋だけを使うように意識する
アブドミナルクランチで腹直筋に上手く負荷をかけるには、下半身の状態にも意識を向けましょう。
トレーニング中の下半身はリラックスが基本です。両足に力を入れると、背中を丸める動作に太ももや股関節の筋肉が補助的に使用されてしまいます。
トレーニング中は足で踏ん張ることなく、腹筋にのみ力を入れるように意識することが大切です。どうしても踏ん張ってしまう場合は、ウェイトが重い可能性があります。一度、ウェイトを軽くしてみましょう。
【Q&A】アブドミナルクランチについて多い質問
アブドミナルクランチはマシンさえあれば、トレーニング初心者でも気軽に行えるトレーニングです。しかし、最初は疑問に思うこともあるでしょう。
ここからは、トレーニング初心者が共通して感じる疑問と、その解決策を紹介していきます。モヤモヤをスッキリさせ、腹筋を集中して鍛えましょう。
Q. アブドミナルクランチで腰が痛くなる原因・理由は?
腰が痛くなる場合は、アブドミナルクランチのフォームをもう一度確認してみましょう。
シートの背もたれと背中の間に隙間があると、腰を痛めてしまう危険性があります。隙間があると背中を丸めるときや、戻すときに背中を反ってしまいがちになるためです。
背中を反ると腰への負担が増えるため、マシンのシートには意識して深く座るようにしましょう。
また、背中を丸めるときに勢いに任せて上半身を倒してしまうことも、腰を痛める原因となるので注意が必要です。
Q. アブドミナルクランチは毎日しても大丈夫なの?
トレーニングをした翌日に、腹筋が筋肉痛になっている場合は控えましょう。筋肉痛は壊れた筋肉組織を回復しているときにおきます。
筋肉痛がおきるということは、腹筋にうまく負荷をかけられている証拠です。しかし、再生中にさらなる刺激が加わると、筋肉は縮小してしまいます。
理想的なボディを手に入れるためには、トレーニングを継続させることがなによりも重要です。しかし、がむしゃらに毎日行うのではなく、自分の身体と相談しながら行いましょう。
Q. 腹筋がなかなか筋肉痛にならないのはどうして?
腹筋以外の筋肉に力が入っているか、設定したウェイトが軽いことが原因です。ウェイトが軽い場合は重いウェイトに変更すれば良いのですが、腹筋以外に力が入っている場合はフォームを見直す必要があります。
肘の角度は90度になっているか、両肘が外を向いていないか、シートに深く座れているかなど、ひとつひとつのフォームを見直してみましょう。
1度にすべて修正する必要はありません。回数を重ねて、徐々に正しいフォームでトレーニングできるようになりましょう。
アブドミナルクランチで腹筋を効果的に鍛えよう!
いかがでしたでしょうか。アブドミナルクランチは自重では得られない高負荷を腹筋にかけられます。マシンを使用するトレーニングですが、初心者でも気軽に取り組めるのも特徴です。
今回の記事で解説したコツや、正しいフォームをマスターするにはある程度の時間が必要となります。一度に意識することが難しい場合は、できることからクリアしていくことがおすすめです。
アブドミナルクランチで腹筋を効率良く鍛え、理想のシックスパックを手に入れましょう。